KATANA COMPLETE FILE 1980-2019

蘇るカタナ伝説〈04〉第2世代1100から70周年記念モデルまで

スズキ GSX1100SD カタナ

基本構成は不変だったものの2年目以降のカタナは各部の見直しを行い、外観の雰囲気を一新した。

細部の熟成によって完成度を高めた2代目:GSX1100SD

車体色がツートーンになった’83年型SDのわかりやすい特徴は、エンジンがブラック塗装になったことと、ホイールのデザインが変更されたこと。ただし、バックスキン調から一般的な素材に改められたシート表皮、ベースの素材をスチールからジュラルミン鍛造に刷新したステップ、ピン溶接が行われるようになった組み立て式クランク、大型化されたジェネレーターなど、変更点は多岐に及ぶ。前側エンジンマウントは固定方式を改善した。

スズキ GSX1100SD カタナ
【SUZUKI GSX1100SD 1983】主要諸元■空冷並列4気筒DOHC4バルブ 1074cc 111ps/8500rpm 9.8kg-m/6500rpm 232kg(乾) Fタイヤ=3.50-V19/Rタイヤ=4.50-V17 ※輸出仕様車
スズキ GSX1100SD カタナ
【SUZUKI GSX1100SD 1983】

先代の資質を継承して3年間に渡って販売を継続:GSX1100SE

’84年のスズキはGSXシリーズの新たなフラッグシップとして、フルカウル/リンク式モノショック/フロント16インチホイールなどを採用するGSX1100EFを発売したものの、カタナの販売も継続。もっとも3代目となるSEの変更点は、レッドを大胆に用いたカラーリングのみで、エンジンとシャシーの基本構成はSDを継承していた。なおSEの後期型以降の1100カタナは、フレームのバックボーン後端部に補強を追加している。

スズキ GSX1100SE カタナ
【SUZUKI GSX1100SE 1984】■空冷並列4気筒DOHC4バルブ 1074cc 111ps/8500rpm 9.8kg-m/6500rpm 232kg(乾) Fタイヤ=3.50-V19/Rタイヤ=4.50-V17 ※輸出仕様車
スズキ GSX1100SE カタナ
【SUZUKI GSX1100SE 1984】エンジンとマフラーのブラックアウトは当時の流行で、カワサキZ1100GP/Z1000RやホンダCB1100Rなども同様の手法を取り入れていた。
スズキ GSX1100SE カタナ
【SUZUKI GSX1100SE 1984】独創的な星形デザインだったSZのホイールに対して、SD/SEはシンプルな6本スポーク。いずれもチューブタイヤの使用を前提とした構造。
スズキ GSX1100SE カタナ
【SUZUKI GSX1100SE 1984】SD/SEはフロントフォークのアウターチューブとリアショックのスプリングをブラックに変更。さらにテールカウルも濃紺→ブラックに刷新。
スズキ GSX1100SE カタナ
【SUZUKI GSX1100SE 1984】ED2の意匠を再現するべく、SZではバックスキン調のシート表皮を採用したカタナだが、SD/SE では一般的で滑らかな素材に改められた。
スズキ GSX1100SE カタナ
【SUZUKI GSX1100SE 1984】メーターは初期型から不変で、速度計のフルスケールは240km/h。ただし一部地域向けの速度計は、目盛りが250km/h まで刻まれていた。

欧州向けの限定車と日本独自の特別仕様車:GSX1100SAE/SBE

’87年にヨーロッパ市場向けの限定車として販売されたSAEは、初代SZの雰囲気を再現したモデル。この頃の日本では逆輸入車正規代理店として、スズキワールドグループが活動を開始しており、同社は1100カタナでは初となる、日本語の販促パンフレットを製作した。斬新な赤フレーム/シートを採用したSBEは、スズキワールドグループ以外の日本の大手ディーラーが企画した車両で、足まわりの構成はSEに準じている。

スズキ GSX1100S SAE カタナ
【SUZUKI GSX1100SAE 1987】■空冷並列4気筒DOHC4バルブ 1074cc 111ps/8500rpm 9.8kg-m/6500rpm 232kg(乾) Fタイヤ=3.50-V19/Rタイヤ=4.50-V17 ※輸出仕様車
スズキ GSX1100S SBE カタナ
【SUZUKI GSX1100SBE 1987】

スズキ創立70周年を記念するアニバーサリーモデル:GSX1100SM/SL/SSL

SAE/SBEの生産終了時に、いったんはカタナの製造ラインを撤収したスズキだが、’90年になると自社の創立70周年を記念する限定車として、アニバーサリーモデルを発売。1000台が生産された当初の機種記号はSMだったが、後にユーザーの声に応える形でSLが追加販売され、現在は両車を統合してSLと呼ぶのが一般的になっている。一応は逆輸入車だったものの、実質的には日本市場専用車で、当時の価格は110万円前後だった。

スズキ GSX1100S SM カタナ
【SUZUKI GSX1100SM 1990】■空冷並列4気筒DOHC4バルブ 1074cc 111ps/8500rpm 9.8kg-m/6500rpm 232kg(乾) Fタイヤ=3.50-V19/Rタイヤ=4.50-V17 ※輸出仕様車
スズキ GSX1100S SSL カタナ
【SUZUKI GSX1100SSL 1992】’91年から追加されたSSLは、SEカラーをまとったSL。パワーユニットはブラックが基本だが、キャブレターはシルバーの車両も存在した。
【SUZUKI GSX1100SM/SL 1990】SMとSLの相違点は、ガソリンタンク上面に貼られたスズキの創立70周年記念ステッカーのみで、それ以外の構成はまったく同じである。
【SUZUKI GSX1100SM/SL 1990】SM/SLはブレーキホースの一部とANDF用ホースがステンレスメッシュタイプとなり、フロントキャリパーのデザインが刷新された。
【SUZUKI GSX1100SM/SL 1990】タンデムベルトとテールカウル下部の荷かけフックは、日本市場を意識した装備。標準タイヤはブリヂストン/IRCからメッツラーに変更。

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