仕事に家庭に忙しい日々を送る我々ホリデーライダーにとって、バイクで出かける長距離の旅は、日常のストレスからいっとき解放されて新たな英気を養うまたとない機会。そんなロングツーリングを快適にする頼りになる相棒として欠かせないのが、旅の荷物をひとつに収める大型シートバッグだ。本企画では特に50~70Lクラスのバッグを6点セレクトして、各製品の特徴や機能性をつまびらかに。本稿では、戦略的な価格設定で定番の牙城に迫る「キャンプツーリングシートバッグ IGY-SBB-R-0040」(イガヤ)を紹介する。
奇をてらわない作り。だからこそ使いやすい
ブランド名の「イガヤ」とは、本製品を生み出したプロトの所在地に由来。見どころはやはり大型シートバッグのカテゴリー中トップクラスのコストパフォーマンスだ。外観からわかる特徴は箱型構造で、上面と両横の3方向からメイン気室にアクセスできて、容量の拡張時には両横を広げるオーソドックスなタイプだ。防弾ベストにも採用される極太糸= 1680デニールのバリスティックナイロンをメイン素材にして、裏地はPVC素材で防水性を補助し、堅牢な耐久性を確保している。さらに前後や底面は約2.5mm厚の樹脂プレートで補強してバッグ自体の剛性を上げ、積載時の安定感を高めている。これだけ基本機能が十分で1万4000円以内というのだから、まさにお買い得。
全18か所にも及ぶD環もポイント。市販のツーリングネットのフックが掛けられるもので、バッグの天面へ積載するのに役立つ。
拡張時の増量はやや控えめ
拡張スペースは左右で65mmずつ展開できて、+14Lの増量で計64Lになる。拡張の際、両端の垂れさがりを防げるよう垂直方向にベルトが設けられている。
また、横の開口部からも荷物にアクセス可能。縮小時は、幅広の天面フラップが雨除けとしての効果がある。
荷物の固定方法にひと工夫
天面フラップには2本のホルダーベルトで長尺物の荷物を固定できる。米軍のMOLLEに似たウェビングシステムのため、これに対応したポーチが装着できそうだ。
メイン気室内は荷崩れ防止用のベルトを左右で2本装備。クロスして使うこともできる。
シートバッグを取り付けてみる
(テスト装着車:CRF1000Lアフリカツイン アドベンチャースポーツ)
【POINT1】付属の固定ベルトは前側でも後ろ側でも使える。端がループになっていてキャリアに巻き付け、凸側バックルをループに通せば取り付け終了。
【POINT2】前側の固定ベルトの取り付け方は、上と同じ方法。タンデムステップのステーやアーム、ステップの根本など、ズレにくいところを選びたい。
【POINT3】固定ベルトを締め込んであまったベルトは付属のベルトホルダーでまとめれば、端がぶらつくことはない。
装着後はこんな感じに仕上がる
箱型形状かつ4点固定ベルトなど標準的な仕様。コストパフォーマンスモデルながらも底面や前後に厚めの補強板を採用しており、積載は非常に安定する。天面フラップ用のバックルが大型で、グローブ装着時でも使いやすい。
開口部は幅と奥行ともやや狭めの28cm(編集部計測)。レインカバーの表側にあるブランドロゴは反射材仕様。裾はドローコードで絞ることができる。
各種サイズまとめ
幅50cm(拡張時63cm)、高さ31cm、奥行35cm
たたむと幅59cm、高さ12cm、奥行61cm。左右の開口部をフルオープンにして本体を平たくし、両サイドを内側に折りたたんで最後にフラップをかぶせれば、かなり平面状になる。壁に立てかけておいても全体がバラけないので、収納しやすい形だ。
●税込価格:1万3824円
●重量:3779g(編集部計測)
●容量:50〜64L
●色:黒
●機能:サイドオープン、マットホルダー、上面ドローコード、レインカバー、ショルダーベルト、リフレクター
●問:プロト TEL:0566-36-0456 http://www.plotonline.com/
【大型シートバッグ6選比較レビュー】
#1:キャンピングシートバッグ2 MOTOFIZZ[タナックス]
#2:キャンプツーリングシートバッグ[イガヤ]
#3:HenlyBegins ツーリングシートバッグ DH-724[デイトナ]
#4:ツーリングリアバッグ78[ゴールドウイン]
#5:BWPラフクルージングバッグ[ラフアンドロード]
#6:テールバッグ レースパック[エスダブリューモテック]
●撮影:長谷川徹、松井慎、飛澤慎
●文:飛澤慎