2018年11月4日(日本では5日)、ドゥカティがミラノショーに先駆けてプレスカンファレンスを実施し、パニガーレV4R(PANIGALE V4R)などの2019年モデルを初公開した。
最強エンジンと空力パッケージで差をつける
パニガーレV4Rは公道走行可能なスーパーバイク世界選手権(WSBK) カテゴリーのレーシング・バイク で、2019年シーズンを戦うドゥカティ・スーパーバイクのベース車となる。パニガーレV4Rは、パニガーレV4Sをベースとし、戦闘力を高めるためにドゥカティ・コルセの開発によるモディファイが施されている。パニガーレV4Sの排気量1103ccのV4エンジンに替わって搭載されるのは、998ccのデスモセディチ・ストラダーレRエンジンで、SBKのレギュレーションが定める排気量に適合。エンジンはサーキット走行を主とした出力特性とし、最高出力は221ps(162kW)を発揮。また、最高出力発生回転は15250rpm で、1103ccのV4よりも2250rpmも引き上げられた。
ドゥカティ・コルセが開発した独特のエアロダイナミクス・パッケージには、空気抵抗を軽減するスクリーンやアッパーカウル、サイドカウルが含まれている。冷却エアを導くための特別な形状を備えたエアベントも特徴となる。モトGPマシンのデスモセディチGP16に由来するカーボンファイバー製ウイングはあらゆる速度域でマシンの安定性を高め、電子制御の介入頻度を最低限に抑えてライダーに安心感を与えるもの。これにより、スロットルを開けている時間はより長くなり、コーナー進入前のブレーキングも最大限に遅らせることができるようになるのだ。
オプションのマフラー装着で234psに
パニガーレV4Rのエンジンは、最高出力221ps (162kW) /15250rpm、最大トルク11.4kg-m(112Nm)/11500rpmを発揮。圧縮比は14:1、レブリミッターは 16000rpm (6速で16500rpm) に設定されている。これらの数値は998ccのエンジンとしては驚異的だが、アクラポヴィッチ製ドゥカティ・パフォーマンス・エキゾーストを装着することでさらに引き上げられ、最高出力は234ps(172kW)/15500rpmに到達する。
デスモセディチ・ストラダーレと同様、”R”バージョンは90度V4で、42度後方に傾けたシリンダー、ツインパルス式点火順序、逆回転クランクシャフトを特徴としている。 車体の剛性部材として機能するように設計されたこのエンジンは、新設計されたスチール製鍛造クランクシャフトによって、81mmのボアはそのまま維持しながら、ストロークを48.4mm(1103㏄は53.5mm)にショートストローク化している。4本のチタンコンロッドは、パニガーレV4に採用されているスチール製と比較して、それぞれ100グラム軽量化、クランクシャフトは1100グラム軽くなっている。
カムシャフトは、専用のプロファイルを備えており、デスモセディチ・ストラダーレに比べてリフト量を増して16本のバルブを駆動(34mm径チタン製インテークバルブ、27.5mm径スチール製エキゾーストバルブ)。Rバージョンのエンジンでは、シリンダーヘッドに専用の流体力学デザインが採用された結果、 新しくより大きなインテークダクトが開発されている。
モトGPマシンよりも高効率なウイング
パニガーレV4Rの変更点におけるハイライトで、外観に最も大きな変化をもたらしたのはウイングだろう。これはデスモセディチGP16 (形状が規制される以前)に使用されていたウイング・コンセプトに基づくものだが、 モトGPで使用されたものと比較してもさらに効率が良くなっているという。
モノプレーンのウイングは台形レイアウトとなっており、根元から先端にかけて徐々に細くなっている。ウイングの性能は、縦方向に配置されたストレーキと、表面を流れるエアを保護するウイングレットによってさらに引き上げられている。フェアリングのデザインと連携するウイングによって、マシン全体のダウンフォースが向上(270km/hで+30kg)し、高速走行時におけるウィリーを抑制。さらに、ターンインポイントとコーナーにおけるブレーキング時の安定性が向上する。
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