適度な攻めにも対応 雰囲気に酔える秀作

新色が追加されたカワサキ Z900RSカフェのインプレッション

デビュー以来、飛ぶ鳥を落とす勢いで売れているカワサキのZ900RS。そのバリエーションモデルである“カフェ“が早くも’19年モデルへ移行した。さっそく新色に乗ってみたぞ!

【〇】懐古的なのは外観のみ 走りの水準は想像以上

Z800からバトンを受ける形で’17年に登場したスーパーネイキッドのZ900。これをベースに往年の名車900スーパー4、通称Z1を彷彿させる外観を与えられたのがZ900RSだ。さらに、RSを基に当時のカスタムスタイルの1つ、カフェレーサー風の雰囲気を再現したのが、今回試乗したZ900RSカフェである。すでに8月から’19年モデルに切り替わるという人気ぶりであり、試乗車は新しいカラーリングの1つ、ストームクラウドブルーという灰色がかった青を採用する。

RSに対してややグリップ位置の低いバーハンドルと、座面が20mm高いシートを採用するカフェ。上半身は軽く前傾するがストリートファイター系ほどではなく、Z900よりわずかに大柄なライポジとなる。

948ccの水冷並列4気筒エンジンは、Z900より14ps低いとはいえアイドリング付近からしっかりとトルクが厚く、意識して開けなくともキビキビと走り回れる。特に感心したのは、スムーズな吹け上がりの中に直4らしい脈動感があることで、そこに空冷のような味わいを感じた。とはいえ、右手に対して忠実に反応してくれるスロットルレスポンスや、アシスト&スリッパークラッチによる左レバーの操作力の軽さなど、エンジン全体の印象は現代的であり、パワーも十分以上だ。

ハンドリングは、Z900よりも軸距が20mm長いなどの影響もあってか、1クラス上のサイズ感を味わわせつつも、どんなシーンもナチュラルに旋回してくれる。RSとカフェ向けに専用設計されたトレリスフレームは、しなりを感じさせつつ高速コーナーでも不安はなく、φ41mm倒立式フロントフォークやホリゾンタルバックリンク式のリヤサスとの相性も抜群だ。特に旋回中にギャップを通過したときの収束が早く、リヤ2本サスとの次元の違いを見せつける。

ブレーキは、フロントにラジアルマウントのモノブロックキャリパーを採用する。マスターシリンダーがラジアルポンプで、さらにディスクがφ300mmとあまり大径でないことから、強すぎることはなく実にコントローラブルで好印象だった。

【KAWASAKI Z900RS CAFE 2018年型国内仕様 色:緑、青、灰 価格:135万円】早くも8月1日から販売されている‘19年モデルでは新色を追加。ストームクラウドブルーとメタリックグラファイトグレーが追加され、パールストームグレーが廃止に。車体色以外に変更なし。
【‘70年代カフェレーサーの雰囲気を再現】レトロスポーツのZ900RSをベースに、クラシカルなフロントカウルやローポジションハンドル、専用のシングル風シートなどを採用したファクトリーカスタム。車重は2kg増の217kgを公称。ガソリンはプレミアム指定となっている。

【×】排気音がやや大きく早朝は気を遣いそう

カワサキ初となるサウンドチューニングを施したという排気音は、音質こそ官能的だが、アイドリングからボリュームが大きめだ。好みが分かれそうであり、閑静な住宅街での暖機は気が引けるかもしれない。

【結論】カフェスタイルながらも全方位に楽しめる1台

派生モデルだが、カウルがある分だけRSよりもロング向きと言える。それに、前傾姿勢は見た目ほどつらくはなく、荷重が分散するのでむしろ疲れにくい。外観こそクラシカルだが、現代レベルでオールマイティに使えるマシンだ。

クラシカルな意匠に液晶画面を融合させたメーター。ギヤ段数や瞬間&平均燃費計などを導入。トラコンの切り替えもここで行う。
Z900の948cc水冷並列4気筒をもとに、低中回転域重視のカムを入れるなどして125→111ps に。さらに1速と6速の変速比、2次減速比も異なる。左右のエンジンカバーにさりげなくDOHC の文字があり、よりZ1のディテールに近いという点において、RSのオーナーは悔しがりそうだ。
φ41mm倒立式フロントフォークはフルアジャスタブルで、リヤショックはプリロードと伸び側減衰力が調整可能だ。フロントキャリパーはモノブロックの対向4ピストン。ユーロ4に対応する集合マフラーはRSと同一デザインだが、カフェはヘアライン仕上げとして艶を抑えている。
ブラック塗装のローポジションハンドルを採用。絞り角は大きめながら、ハンドル切れ角はRSと同じ左右35度ずつ確保されている。カフェの特徴であるハンドルマウントのフロントカウルに合わせて、ミラーのステーもショートタイプに。
Z900RSよりもシート高が20mm高く、両カカトが若干浮く。ハンドルはグリップ位置が低めで、ややスポーティなライポジを構築。(身長175cm/体重62kg)
後席をシングルシートカウル風としたカフェ専用シート。シート高は820mmだ。なお、RSには座面が35mm高くなるシートがオプションで用意されている。
主要諸元■全長2100 全幅845 全高1190 軸距1470 シート高820(各mm) 車重217kg(装備)■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 948cc 111ps/8500rpm 10.0kg-m/6500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量17L■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17

写真:飛澤慎

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