’16年に登場した現行アフリカツインが初のマイナーチェンジを実施。電子制御系を改良し、待望のビッグタンク&脚長のバリエーションモデルを追加した! ※ヤングマシン2018年9月号(7月24日発売)より
【〇】快活になったエンジン
まずはエンジンから。電子制御スロットルの新採用によりライディングモード選択機能が追加された。これは出力特性(3段階)以外にエンジンブレーキ(3段階)と、HSTCと呼ばれるトラクションコントロール(7段階+オフ)が連動して切り替わるもので、プリセットされている3種類(ツアー、アーバン、グラベル)のほか、先の項目を任意に選択できるユーザーモードを用意。なお、設定の変更方法は公式サイトに動画で詳しく紹介されている。
吸排気系やバランサーウェイトの見直しもあってか、エンジンは従来よりも快活に吹け上がるようになった印象だ。電スロのレスポンスは開き側、閉じ側とも過度に感じないレベルでモードごとに差別化されており、シチュエーションの変化に応じて設定を使い分けたくなる。トラコンについてはフラットダートでテストしたところ、数字が減るごとにリヤタイヤの流れ方が増えることを確認。好みに応じたセットが可能となった。
なお、有段自動変速機構のDCTは、Sモードのレベルが3段階から選べるようになったほか、登降坂推定によるシフトタイミングの制御により、ATモードで走行している際の違和感がかなり軽減された。付け加えると、クラッチ制御の時間をレスポンス重視に切り替えるGスイッチも優れものだ。これはオフロード走行での車体コントロールをしやすくするのが目的ながら、変速時に空走感のないキビキビとした操縦性は、舗装された峠道でも威力を発揮する。
【〇】ASは明らかに旅向き
さて、今回のマイナーチェンジと合わせて追加されたビッグタンクの派生モデル、アドベンチャースポーツについて記そう。ミッションが同じ仕様同士であればスタンダードより13kg重いが、走行中はそれを一切感じさせない。サスストロークは前後とも20mmほど長く、その分だけピッチングなどの動きも大きめだが、多くの人はスタンダードよりも衝撃吸収性が高く、乗り心地がいいと感じるだろう。80mm高いスクリーンとワイドなタンクにより防風効果に優れ、さらにローダウン仕様まで用意されているのもアドベンチャースポーツの美点。初代を彷彿させる車体色もファン泣かせだ。
【×】あえて望むとすればチューブレス化ぐらい
アドベンチャーというカテゴリーは群雄割拠。ライバルに対してDCTは大きなアドバンテージだが、人によってはタイヤがチューブタイプという点に不安を感じるかも。スタンダードの価格は3万円ほど上がったが、内容的には納得の範疇だ。
【結論】人気モデルが3年目の深化でさらに魅力的に
快活になったエンジン、賢い電スロ、DCTの熟成が’18年モデルの特徴だろう。なお、シフトアップとダウンに対応したクイックシフターがオプションに追加されており、MT仕様のほうが好きという人はこれを試してはいかがだろう。
撮影:飛澤慎