全世界で5機種を展開するホンダのCB-Rシリーズ。国内でメインとなりそうな250に初試乗。CB250Fとは一線を画す熱い走りが魅力だ。 ※ヤングマシン2018年8月号(6月24日発売)より
【〇】出力微減だが不満なし
249ccの水冷DOHC4バルブ単気筒を搭載するCB250F。その後継とも言えるのが新型のCB250Rだ。エンジンは圧縮比をはじめ1次/2次減速比、6段すべての変速比までがFと共通であり、最高出力は2ps減の27psを公称する。まずはそのエンジンから。諸元上ではパワーダウンしているのであまり期待していなかったのだが、それを感じさせないどころか、同等以上に力強い。街中では5000rpm以下で事足りるほど低回転域がトルクフルで、スロットルを全開にすればレッドゾーンの始まる1万500rpmまで単気筒とは思えないほどスムーズに伸び上がる。ABS仕様同士で比べると車重が17kg、およそ11%も軽くなっており、その影響がかなり大きいようだ。また、吸排気系の見直しおよびFIのセッティングによって、リニアなレスポンスに注力したことも功を奏している。
【〇】意のままに操れる快感
続いてハンドリング。これはもうCB250Fとは別物だ。車体の倒し込みに対してバイクに意志があるかのように向きを変えるタイプではなく、コントロールはあくまでもライダーに委ねられている。だが、それは決して難しいものではなく、旋回半径からバンク中のライン変更まで自由自在。すべてが自分の制御下にあるという感覚があり、これを助けているのがエンジンの忠実なレスポンスだ。車体の絶対的な軽さに加えてマスの集中化やスチールフレームのしなやかさ、接地感に寄与するラジアルタイヤなど、すべてのバランスがいいのだろう。CBR250Rよりも太いφ41mm倒立式フォークや分離加圧式リヤショックの動きも良質で、スポーティなだけでなく巡航時の乗り心地も不満はない。フロントにφ296mmペタルディスクと対向4ピストンのラジアルマウントキャリパーを組み合わせたブレーキは、このスペックから想像するほど強力に利くというタイプではないが、リヤも含めて微速域からコントローラブルだ。注目のIMUを採用したABSについては、その効果を体感できなかったものの、安心感という意味では非常に大きい。
【×】積載性がかなり犠牲に、タイヤ交換代も高そう
昨今のストリートファイター系ネイキッドに共通するのだが、タンデムシートの座面が狭いので、大きなシートバッグを安定して取り付けるのが困難。また、タイヤがCB250F時代のバイアスからラジアルになり、交換費用がかさみそうだ。
【結論】バイクで走るその根源的な楽しさを凝縮
自分と路面との間にあるバイクの存在を希薄にすら感じてしまうほど、真の意味でネイキッドな感覚を味わえる。積載性にやや難ありだが、それすらもアバタもエクボだと思えてしまうほど、付き合うほどに日常が楽しくなるはず。
主要諸元[ ] 内はABS 車■全長2020 全幅805 全高1050 軸距1355 シート高800(各mm) 車重142[144] kg(装備) ■水冷4スト単気筒DOHC4バルブ 249㏄ 27ps/9000rpm 2.3㎏ -m/8000rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量10L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=110/70R17 R=150/60R17
撮影:飛澤慎