試乗会が開催

ホンダ2018新型フォルツァ250試乗インプレッションと走行動画

2018年7月23~24日、ツインリンクもてぎで新型フォルツァ(250)の試乗会が開催された。編集部員による試乗インプレッションや走行動画、開発陣による車両解説の要約お届けしよう。

【インプレッション】ハンドリングは軽快さと安心感を両立

シートは結構高くて、身長170cmでかかとは完全に浮く。しかし足をまっすぐ降ろせる感覚があるので、足着きが苦しいという印象はさほど強くない。シート前端や側面の形状がいいのだろう。従来型・フォルツァSiの熟成版となるエンジンは、スポーティさよりもリニアな反応や上質感が印象的。発進〜低速域ではスロットル操作にとても忠実で、過敏さや鈍さを感じることがないし、約5500rpmをキープしつつ、速度上昇とともに回転数をジワジワ高めていく全開加速時でも、振動や雑味が抑えられていて安っぽさがないのだ。

ハンドリングも同様だ。前輪の舵角の付き方にしっとり感があるというか、やや大径なホイールを履いているかのような落ち着きがあり、パイロンスラロームのような低速コーナーでも心穏やかに車体を寝かせていける。250ccらしい軽快さはあるが、そこにオトナっぽい安心感もうまく両立させている印象だ。ビッグスクーターにありがちな、背中を押すような乱流がしっかり抑制されていたのも特筆点で、電動スクリーンを最上端まで上げてもほとんど不快感がない。今回は短時間の試乗だったものの、それでも新型フォルツァの実力は随所に感じ取ることができた。 ※テスター:マツ(ヤングマシン)

【開発の狙い】グローバル化が進化を促進

フォルツァはNew Stylish Sports(ニュースタイリッシュスポーツ)を開発コンセプトに掲げ、精悍なスタイリングとスポーティな運動性能を魅力とした国内専用モデルとして2000年に誕生した。以来、時代変化やニーズの移り変わりとともに進化しながら、4代目からはグローバルモデルとしてタイ、欧州などでも販売を開始。そして、このグローバルモデル化は世界のユーザーからより多くの要望を受けるきっかけとなり、それに応えるべくフルモデルチェンジしたのが新型フォルツァ(250)となる。

フォルツァは代を重ねながらそれぞれ進化してきているが、ニュースタイリッシュスポーツというコンセプトは貫いている。新しいフォルツァではこれに対しさらに独自の安心、快適性に加え、街中でも取り回しやすい軽快感を提供することを目指した。今回、初代と同じニュースタイリッシュスポーツのテーマに基きながらも世界基準で見直した結果、4代目とはシルエットから大きく異なる大きな進化を果たしたのだ。

【HONDA FORZA 2018年型国内仕様(左) 価格:64万6920円 発売日:7月20日 色:白、黒、つや消し黒】右の4代目からタイ生産となり、欧州やアジアでも発売を開始したフォルツァ(300)が海外から要望も受けて進化させたのが左の5代目フォルツァ(250)。4代目までのロー&ロングから大きく方向性を変えている。

【開発の狙い】安心、快適性の提供

優れた空力性能を備えた外観と走行中に必要なタイミングで素早くアジャストできる電動スクリーンにより、幅広いシーンに対応する優れた快適性を実現した。防風性能だけではなくフロントの開口部や給油口上部、ハンドル根本部からのフレッシュエアーを導くことで高速走行時のライダー前側から発生する負圧をコントロールし、背中にかかるバックプレッシャーを軽減するエアーマネージメントの採用も快適性に大きく寄与している。

防風性能を確保しつつライダー手前に発生する負圧を低減するために、給油口の上やスクリーン裏にダクトを設けている。

【開発の狙い】ホンダスクーター初のトラクションコントロール

ホンダのスクーターとして初めてホンダセレクタブルトルクコントロール(HSTC)を採用した。グローバルな視点で見直した結果のHSTC採用はその代表例と言える改良だ。欧州においては石畳の路面が多く、特に濡れている場面は非常に滑りやすくなり、普段走り慣れた道でも慎重な操作を強いられる。そういった場面で不意なスリップを抑制するのがHSTCとなる。オン・オフは左ハンドル手元のスイッチで走行中の切り替えも可能。HSTCは大径化したタイヤサイズによる走破性向上と相まってグローバルでユーザーにさらなる安心という価値の提供を図っている。

フロント、リヤのタイヤホイール刷新は、従来モデルに対して大径化することにより悪路での安定性、走破性を向上をさせつつ走りの軽快感につなげている。ブレーキは、ABSを標準装備とし、不意なロックを抑制することで制動時の安心感を向上させた。

上段に張り付けた走行動画の最後に砂利道での走行シーンがあるが、急加速で出だしの瞬間にトラコンが働いているのが分かる。また砂利道での急ブレーキでもABSの働きで大きくスリップすることなく停止することができている。

【開発の狙い】街中で扱いやすい軽快感

今回の開発で目指した軽快感を実現するために、車体パッケージングを大きく見直している。ホイールベースに関しては従来より35mm短縮し、完成車の約5%にあたる11kgの軽量化を実現した。その結果、一層の取り回しやすさを獲得している。新設計したフレームは、軽量化と同時に剛性もアップさせること、また、キャスター角も変更することで高速時の安定感と軽快なハンドリングを両立している。ライディングポジションは、よりアップライトな方向になるように見直しをかけて視線の高さによる前方の見通しやすさを向上させた。これによって混雑した市街地から高速道路まで幅広いシチュエーションで交通状況がより把握しやすくなり、一層安心して快適な走りを楽しめるようになっている。

不快な振動を抑制するオレオリンクは従来モデルから引き継がれている。フレームは新設計で従来より20%の軽量化を達成している。

ライディングポジションは従来のフォルツァSiに比べると積極的に操舵しやすいアップライトなものに改められた。前後ホイールがそれぞれ1インチ大径化された影響もありシート高は715→780mmにアップしているが、モデルとなった身長165cm、体重53㎏のライダーでも両つま先は接地する。

【開発の狙い】使い勝手

車体パッケージのコンパクト化を図りながら同時にコミューターとして欠かせない実用性も重視している。デイリーユースを想定した燃料タンクの容量を確保しながらバッテリーとラジエターを上下にコンパクトに配置することで、ホイールベース短縮とヘルメットを2個収納できるラゲッジスペースを両立させている。また、フットスペースの形状を見直すことで様々な走行シーンにおいて好みのライディングポジションが取れるように配慮し、二人乗りでも快適に走ることができるよう、膝の曲がりをゆるやかにすることでパッセンジャーの居住性にもゆとりを持たせた。

収納スペースについては、シート下のラゲッジスペースに加えて、フロント左側に施錠できるインナーボックスを備えている。500mlのペットボトルやETCが収まる容量を確保し、携帯電話などの充電に便利なアクセサリーソケットも標準装備している。スマートキーの採用やアナログ2眼メーターのディスプレー部に新しく表示可能とした、燃料の残量と燃費から算出された残走行距離や外気温表示などの豊富な車両情報で、より使い勝手の向上を図っている。

従来はタンク前方にあったラジエターをエンジン手前に移すことによってメインフレームの形状も最適化することができたという。シート下は編集部員のB4サイズのバッグとライディングウエアも収納可能だった。荷物満載でも付属のワイヤーを使用してヘルメットをホールドすることができる。また、工具スペースには小ぶりなレインウエア等が入るスペースも設けられている。

【開発の狙い】スタイリング

スタイリングのテーマは、AGILE&CLASSY(アジャイル&クラッシー)としている。直訳すると俊敏、高級・品位で、これは新しいフォルツァが目指した快適性と軽快感をストレートに表している。大径タイヤが前後に張り出したマス感により運動性能の高さを伝え、同時に大きな曲面とキレのあるエッジで構成したボディサーフェス、各部の上質感を演出する表現でアジャイル&クラッシーのテーマを具現化した。

都会に暮らすライダーをスタイリッシュにマシンと調和させることを意図してデザインされた。

販売は好調なスタートを切った

まず、軽二輪スクーター市場の届け出台数推移の振り返りをしたい。初代フォルツァの発売は2000年3月で、スタイリッシュスポーツスクーターとして市場に受け入れられ、2代目で確固たる地位を築いた。2005年には軽二輪スクーター市場は、年間6万台を超える市場に成長している。3代目投入時には2輪駐禁強化、リーマンショックなど市場環境の変化もあり、2011年度には1万2000台、最盛期の1/5まで市場は縮小。近年は1万6000台規模で市場が推移している。この1万6000台というのは、軽2輪カテゴリーにおいては最大のボリュームだ。

新型フォルツァは2018年7月20日の発売日までに、年間販売計画台数3000台に対してその半数以上の1600台の予約受け付けており、好調なスタートを切っている。

2004年の2代目で悲願のマジェスティ超えを果たし、そこから7年連続で軽二輪全体でトップのセールスを達成したフォルツァだが、ビッグスクーターブームの終焉も同時進行していた。現在の軽二輪スクーター市場はPCX150(2012年4月発売)やマジェスティS(155cc)の販売が好調だが、そこに息を吹き返した250ccビッグスクーターがどこまで割って入るかも注目される。

取材協力:本田技研工業/ホンダモーターサイクルジャパン

いち

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本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)

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