佐藤寿宏のレース通信

【2018鈴鹿8耐プレビュー】大本命はヤマハファクトリー

ロードレースを追いかけること20年以上のフリーライター・佐藤寿宏さんの「寿(ことぶき)通信」をお届け。国内外、レースがある様々な現場から届く「寿通信」は、日本人選手の動向を中心にレポート。今回は、今週末に開催される鈴鹿8耐の見どころだ。

大本命はヤマハファクトリー

酷暑が続いていますが、皆さん、お元気でしょうか? こまめに水分補給をして熱中症にならないようにしましょう。いよいよ今週末は“ハチタイ”こと鈴鹿8時間耐久ロードレースが開催されます。事前テストも終わり、後は本番を待つのみと言うところですが、各チームは、ギリギリまで準備に追われていることでしょう。

今年の大本命は、やはり4連覇を狙うYAMAHA FACTORY RACING TEAMでしょう。さらに乗れている中須賀克行を中心に、ワールドスーパーバイク(SBK)でも調子を上げているアレックス・ローズとマイケル・ファン・デル・マークのトリオは、群を抜いていると言えるでしょう。中須賀に話を聞くと「順調そのもの。どんなコンディションになっても、この3人なら大丈夫」と自信のコメント。公開合同テスト最終日は、ピット練習を行い、早めに切り上げる余裕を見せていました。

YAMAHA FACTORY RACING TEAM

カワサキもSBK王者の加入で優勝に近づく

対抗馬となるのは、Kawasaki Team GREENでしょう。2015年、2016年と2位に入り、今年は、SBKを3連覇し、4連覇にまっしぐらのジョナサン・レイ(以下ジョニー)を招集。7月10~12日の公開合同テストにSBKミザノラウンドを終えたばかりのジョニーは、久しぶりに鈴鹿に登場。本来2本目から走行する予定でしたが、到着1時間後に始まった1本目から、その姿がありました。すぐに好タイムをマークし、3日目にはチームベストとなる2分06秒台に入れ、優勝に向けた本気度を感じさせました。時差ボケに悩まされたそうですが、その辺は、さすが世界王者。プロフェッショナルな仕事ぶりを、淡々とこなしていました。気になるのは、このテストでジョニーよりのセットに変わってきているようで、レオン・ハスラムと渡辺一馬が、そのマシンで、どれくらいのアベレージで走れるかによって作戦が変わってくるはず。カワサキ25年振り2回目の勝利を実現することができるでしょうか。

Kawasaki Team GREEN

HRCはレオン・キャミアが負傷でライダーを変更

10年振りの復活となるHRCは、Red Bull Honda with 日本郵便として高橋巧、中上貴晶、そして紆余曲折あってパトリック・ジェイコブセンが加わりました。全日本JSB1000クラスのエースであり、マシンを開発してきた高橋巧は、周りの喧噪をものともせず虎視眈々と自分自身の仕事に集中。中上も、昨年、転倒してしまった借りを返すためにも今年は、勝って鈴鹿8耐を卒業したいと語っていました。昨年は、Moto2™、今年は、MotoGP™と立場が変わり、最初に鈴鹿8耐マシンに乗ったときは“壊れていると思いピットインしようと思った”と言うほど遅く感じたそうです。それだけMotoGP™マシンがスペシャルな乗り物というエピソードと言えるでしょう。レオン・キャミアが負傷したことで、急きょジェイコブセンが加わることになりましたが、先のテストでは、HARC-PROのチームベストをマーク。HRCのCBR1000RRWをどう乗りこなすによって起用方法が決まることになるでしょう。

Red Bull Honda with 日本郵便

ケビン・シュワンツ氏がTeam KAGAYAMAの総監督に

ヨシムラは、津田拓也、シルバン・ギュントーリに3人目のライダーをBSBのブラッドリー・レイと全日本JSB1000の渡辺一樹で検討していましたが、ブラッドリーを選択。渡辺一樹は、エスパルスドリームレーシング・IAIでチーム代表の生形秀之とトミー・ブライドウェルと組むことになりました。テストでは、両チームのマシンに乗っていた渡辺一樹でしたが、エスパルス号でも速さを見せていただけに上位に顔を出してきそうです。ケビン・シュワンツを総監督に招集するTeam KAGAYAMA U.S.A.もMoto2™のジョー・ロバーツ、浦本修充、そして加賀山就臣というトリオで表彰台を目指します。

Hondaのサテライトでは、モリワキのダン・リンフットが21日のレースで負傷。昨年同様、高橋裕紀と清成龍一の2人で決勝を走ることになるかもしれません。秋吉耕佑率いるau・テルルMotoUPレーシングは、長島哲太がオランダGPで負傷したため、ぶっつけ本番、イサック・ビニャーレスは、雨でしか走っていないため不安要素はありますが、秋吉自身が安定した走りを見せており上位に何かあったときに表彰台争いができるポジションにいそうですね。Team Sup Dream Hondaの山口辰也、岩戸亮介、作本輝介、Honda鈴鹿レーシングチームの日浦大治朗、亀井雄大、安田毅史も同じくセカンドグループを争うことになりそうです。

トップ争いは、やはりYAMAHA FACTORY RACING TEAM、Kawasaki Team GREEN、Red Bull Honda with 日本郵便、MuSASHi RT HARC-PRO. Hondaと言ったところが繰り広げることになりそうです。また、世界耐久選手権チャンピオンに王手をかけているF.C.C. TSR Honda Franceにも注目しましょう。

SST(スーパーストック)の戦いにも注目

街乗り状態に近いSSTクラスも注目です。本誌でもおなじみ青木宣篤は、このクラスに#9 MotoMap SUPPLYからスズキGSX-R1000で出場します。ライダーラインナップは、今野由寛、ジョシュ・ウォーターズと昨年と同じですが、EWCクラスからSSTクラスになったことで、クイックリリースへの改造はできないため、EWCに比べると圧倒的にピット作業に時間がかかります。その中で、昨年優勝した伊藤レーシングは、タイヤ交換を3回に抑え、209周という驚異的な記録を残しています。つまり、3スティントを1セットで走っているということであり、この芸当は、ブリヂストンででしかできないものと言っても過言ではないでしょう。その3スティント目を担当した近藤湧也は、かなり神経を使って走りきったはずです。SSTマシンながら総合でも15位というのは、快挙と言っていいでしょう。

今年、伊藤レーシングはエントリーを見送り、#9 MotoMap SUPPLYが優勝候補の一角と言っていいでしょう。これに対抗するのが、BMW S1000RRを駆る#80 TONE RT SYNCEDGE 4413、#87 チーム阪神ライディングスクール、#26 ARMY・GIRL TEAM MF & Kawasakiのカワサキ勢、YAMAHA YZF-R1を駆る#806 NCXX RACING &ZENKOUKAIと言ったところでしょうか 。ブリヂストン勢は、2スティント以上は可能ですが、今年の猛暑はタイヤに厳しい戦いになるのは、間違いなく、ピット作業をいかに早くするかというところもポイントとなります。SSTクラスのトップ争いも要チェックですよ~!

MotoMap SUPPLY

文・撮影:佐藤寿宏

いち

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本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)

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