オーリンズ&KYBサスで何が変わる?

2018新型MT-09SPをSTDと比較試乗インプレ

2018年3月20日に発売されたMT-09SPがついに編集部にやってきた。同時にSTDも用意し、早速都内の一般道を比較試乗してみた。SPとSTDのメカニズム的な違いは前後サスのみとなるが、果たして効果の程は? 当WEB執筆メンバーの「いち」がインプレッションする。

SPのサスは明らかにランクが上

2017年型のモデルチェンジでサスもグレードアップを果たしたMT-09に、フロント&リヤともにより上級レベルのサスや特別色を盛り込んだのがMT-09SP。ここでは’18STDと乗り比べた違いを書いていきたい。’18STDのMT-09は、編集部が所有する初代MT-09ABSに試乗した後に乗ったが、印象に大きな違いはなかった。というのも編集部の初代09は、横浜のジーセンスでFフォークOH&前後サスセッティングを施しており、初代09STDよりも動きを抑えたものになっていたからだろう。その意味では’18STDは初代よりフワフワ感が抑えられているはずだ。

そして、SPに試乗。まずまたがって前後サスを動かした時点から動きが違う。どっしりとしていてあまり動かないのだ。高額な上級サスを装着した試乗車に跨った時の感覚と同じで、最初は「硬いかな?」と思いながらいつものコースを走り出した。データによるとフロントはSTDのシングルからダブルレートのスプリングとなり、STDより柔らかいレートと硬いレートが共存している。そして、リヤのスプリングはSTDよりも柔らかいレートとなっているが、前後ともSTDよりコシがある動きとなっていた。それでいて乗り心地が悪くなった印象がなかったのは、柔らかいスプリングでギャップを吸収しつつSTDよりダンパーが強く効いているからだろう。

サスの働きでは、SPの方が限界が高いと思われる。特に街中でそれを感じるのは信号で停止する時。強めの減速でもフロントが沈み込む量がSTDよりも少なめで、まだその先があることを感じさせる。サーキット走行などに参加したらハードブレーキングで差がつくことは間違いなさそうだ。リヤは、いつものコースの高速コーナーにあるギャップで素晴らしい収束を見せてくれた。最近乗った中ではZ900RSのサスのグレード感が高かったが、同じコーナーで比較すると安心感はSPの方が上だった。

海外のネイキッドモデルでは、上級サス+上級ブレーキなどを追加した「R」仕様がよく存在しているが、SPはサスのみ。しかし、ネイキッドの用途として効果が高いのは明らかにサスの方で、過剰装備を排した分SPはSTDよりわずか10万8000円アップに抑えている。SPよりもよく動くSTDのサスにも”やっている”感があり、筆者としては嫌いではないフィーリングではあるが、乗った印象からするとSPが10万8000円以上の内容になっているのは間違いない。

MT-09SPのKYB製フロントフォークは左右にダンパーがあり、左右それぞれに伸側、高速圧側、低速圧側、プリロード調整機構が備わっている。またフォークスプリングはダブルレートになっている。リヤはオーリンズのフルアジャスタブルでプリロードと圧側減衰力はリモート調整が可能だ。
2017~2018年型MT-09のフロントフォークは左右にダンパーを備えるようになり、右で伸側、左で圧側減衰力を調整できるようにもなった。リヤは伸側減衰力とプリロード調整のみとなる。
初代2014年型のMT-09は、右側フォークにのみダンパー機構が備わる。調整は伸側のみだ。こうして比較するとSPに至るまで、サスがグレードがアップしているのがよく分かる。

「2018新型MT-09SPは111万2400円で3/20発売」記事はこちら