マシン・オブ・ザ・イヤー2018
東京モーターサイクルショー特集⑨

市販化も視野! 無限がオリジナルVツインを発表

ホンダの4輪ではセミワークス的存在であり、2輪でもマン島TTに自社製電動レーシングバイク「神電」で参戦を続ける無限(M-TEC)が、東京モーターサイクルショーで完全オリジナル設計・自社製作の空冷Vツインエンジンを初公開した。なんと、市販化も視野に入れて開発を進めているという。 

今こそガソリンエンジンの面白さを

空冷の45度Vツインで、排気量は約1400cc。ストロークがボアよりも大きいロングストロークユニット(数値は非公開)で、吸気2、排気1の3バルブヘッドを持つ2カムOHV……。そんな概要からも分かるように、ハイパフォーマンスをねらったエンジンでは全くない。無限が自社開発した空冷ビッグツインは「今だからこそ、内燃機関の面白さを世に問いたい!」という想いから生み出されたスタディモデルだ。

大きなシリンダーヘッドや露出したオイルライン、大きく角度の開いたOHVのプッシュロッドなど、旧車に通じるメカメカさ満載の無限Vツインエンジン。深く刻まれた冷却フィンも凝った造形だ。

‘90年代にはF1エンジンを自社開発し、現在もスーパーGTやフォーミュラ・ニッポンといったトップカテゴリーに参戦する無限。しかし、4輪界は急激に電動化へと傾き、無限自身も‘12年から電動レーシングバイク「神電」でマン島TT参戦を続けている。オリジナルエンジン開発のきっかけは「そんな時勢の今だからこそ、荒々しいトルク感や鼓動を有し、メカニカルな美しさを持つガソリンエンジンの魅力を改めて伝えたい」という想いだったという。そうした社内の声により、1年ほど前からプロジェクトがスタート、今回の発表にこぎつけている。

前後気筒とも後方吸気・前方排気のレイアウトを採用。ミッションは別体式で、エンジン左サイド(未完成とのことで非公開)には、ハーレーのビッグツイン的なプライマリーチェーンが存在する。キャブレターはケーヒンCR。

「内燃機関の面白さ」というコンセプトから、重視するのは速さではなくフィーリングだ。1400ccという排気量もビッグツインらしい鼓動感が楽しめ、かつエンジンが巨大化しすぎないバランスから決められたものだし、燃料供給は懐かしのケーヒンCRキャブレター。ヨーロピアンレトロな雰囲気のエンジン外観も、‘30〜40年代に世界最速を誇ったイギリスの名車・ヴィンセントを意識したものだ。

コンプリート販売も予定

さらに興味深いのは、このエンジンが単体販売を視野に入れていることだ。具体的には2020年の市販化を目標に据えており、ユーロ4や5といった排ガス規制のクリアも考慮(その際はキャブレターからFIになるかもしれないが)。ユーザーが用意した車体に搭載できるコンプリートエンジンとして、公道走行可能なものを想定している。ベンチ上ではあるが、既に始動可能なエンジンも存在するという。

曲がりくねってエンジン左へ流れるエキパイも艶めかしい。エンジンマウントはハーレーの旧ソフテイル系(リジッドマウント)と同寸法だが、これはあくまでも暫定仕様とのこと。

気になるのは価格だが、現状ではプロトタイプでもあり、販売数も全くわからないことから完全に未定。今回のMCショー出展は来場者の意見や反響を探り、市販化へつなげるためのリサーチでもあるのだという。

無限が‘80年代、自社開発マシンで全日本モトクロスに参戦していたことを知る人も多いと思うが、実は‘00年頃には、1000ccの空冷Vツインを積む「MRV1000」という試作車を作ったこともある。今回は車両製作までは想定していないが、エンジンはこのMRVが下敷きとなっている部分もあるとのこと。いつの時代でも“オリジナルエンジン”はバイク好きの夢。2年後の発表を楽しみに待ちたい。

エンジンとともに公開されていた車両イメージ。無限で車体も制作する考えは今のところ存在しないが、搭載車両としてはハイテク系クルーザー?を想定しているようだ。

マツ

マツ

記事一覧を見る

「西部警察」と「北の国から」をこよなく愛する本誌編集部員。NSR専門誌・PROSPECのほか、フリーペーパーとして復活を果たしたビッグマシン零(ゼロ)の編集長も兼任する。
■1975年生まれ
■愛車:HONDA NSR250R(1992)/HARLEY-DAVIDSON XL883(2009)

マシン・オブ・ザ・イヤー2018