H2に続くスーパーチャージドマシン第2弾が、いよいよミラノショーで世界初披露された。その名も「ニンジャH2SX」は、200psを維持しつつ、天使にも悪魔にも自在に変貌する新世代のバランス型SCを搭載した前代未聞のスポーツツアラー。コーナリングライトなどを備えた上級仕様の「SE」もラインナップする。また、11月8日にカワサキモータースジャパンが国内仕様の発売をアナウンスしたこともトピックだ。
ストリートを照準に、ほぼ全面新設計で登場
過給機のスーパーチャージー(SC)を搭載する史上初の市販バイクとして、’15年に送り込まれたニンジャH2。以降、長らく本誌が追いかけてきたツアラー仕様が、ついに現実のものとなった。H2SXは、スーパースポーツのH2に対し、「ストリートと旅」に照準を合わせ、入念に造り込まれた意欲作。フレームは完全新設計で、エンジンもH2をベースとしながらインペラー(羽根車)をはじめとするSCと吸排気系、動弁パーツを全面刷新した。
ボディワークは、H2の逆スラントノーズを踏襲しつつ、防風性能に優れたフルカウルとスクリーンを採用。ライポジもリラックスしたもので、ZX-14Rほど前傾せず、ニンジャ1000ほどアップライトではない絶妙な設定だ。全体のフォルムは、トガリまくりのH2に対し、かなり穏やかなデザインに。LEDプロジェクターのモノアイが睨む顔はH2から継承され、カワサキを象徴する製品にのみ与えられるリバーマークも健在だ。アッパーカウルとスクリーン、ミドルカウルは大型化され、ロアーカウルを追加。スポーツ性能を損なわない範囲で快適性を追求している。
パワーを維持したまま燃費性能はH2から25%向上!
998cc直4ユニットは、H2を基に、新たなバランス型SCを搭載。H2と同様、最高出力200psを発生し、過給時には210psをマークする。このパワーを維持したまま、燃費性能をH2より25%も向上したというから驚異的だ。これに貢献したのが大幅な圧縮比向上。8.2→11.2:1とすることで、エンジンの熱効率を飛躍的に高めた。出力特性は、毎日の街乗りが可能なほど充実した低中速パワーが特徴。その多彩なエンジンキャラクターは、低速域でも扱いやすく、リラックスした長距離クルーズも悠然とこなすという。もちろんライダーがその気になりさえすれば、SCならではの怒濤の加速を引き出すことが可能。まさに変幻自在のエンジンだ。
ZX-14Rを上回る軽快なシャーシ
車重の増加は、H2からわずか+18kgの256kg(SE=260kg)に抑えており、パワーウェイト比はメガツアラーのZX-14R(車重269kg)も上回る。トレリスフレームはH2をベースにした完全新作。シートレールはタンデムとパニアケースの装着が可能な剛性を持たせた。ホイールベースは、直進安定性を向上させるため、1455→1480mmに延長。片持ちスイングアームも15mmロング化されている。
鋼管トレリスフレームは、ステアリングヘッド周辺に補強を新設。さらに剛性の高いシートレールを融合した。最大積載量はH2の105kgに対し、195kgとなる。また、ステアリングヘッドは15mm前方に移動し、ハンドル切れ角は27→30度に増大。街乗りやUターンなど低速時の取り回しが改善されている。キャスター&トレールは、24.7度&103mm。H2の24.5度&103mmからわずかにレイクされている。
タンデムシートにパニア、快適装備が揃う
装備面では、シートに注目。2人乗りが可能になったことに加え、フロントシートはより厚みを増し、快適度がアップ。シート高は、コンフォートシートを採用する欧州仕様で835mm。パニアケースはオプションとなり、ニンジャ1000のように、アタッチメントなしでスムーズに装着できるクリーンマウントパニアシステムを採用している。
日本仕様の登場が確定! 発売時期は2018年春
11月8日、カワサキモータースジャパンが正式に発売をアナウンス。リリースに「日本向け」の仕様が明記されており、国内登場は確実。ちなみに日本仕様は、シート高が15mm低いローシートや、ETC2.0、ヘルメットロックが標準装備となる。待望のSCツアラー、発売時期は2018年春とされるが価格を含む続報を待ちたい。