11月5日、ドゥカティがミラノショーに先駆けて現地で2018年モデルの発表会を行った。来年最大の目玉はエンジンをV4に刷新した新型パニガーレ。9月7日に実施されたV4エンジン「デスモセディチ・ストラダーレ」の発表に続いてオールニュー「パニガーレV4」の全容が明らかにされた。
追記、価格はSTDが263万9000円で4月発売
11月6日にドゥカティジャンが配信したリリースによると、4月にパニガーレV4/Sが導入予定。価格は263万9000円/328万円と発表された。カラーリングはレッドのみ。トリコロールカラーのパニガーレV4スペチアーレは導入時期未定。価格は455万円でマグネシウムホイール仕様が509万円だ。
マフラー変更でなんと226ps!
パニガーレV4には、スタンダードとS、Speciale(スペチアーレ)の3種類が存在しており、いずれも1103ccの90度V型4気筒エンジンを搭載。9月にエンジン単体をお披露目した時は最高出力210ps以上としていたが、正式に214ps/13000rpmと発表された。また、スペチアーレに付属品として同梱されているアクラポヴィッチレーシングエキゾーストを装着することで226psを発揮することも明らかにされた。尚、レース対応の1000cc仕様は、CEOが2019年モデルでの登場を公言している。
そして、エンジンがV2→V4になったことで車重が増したかというとわずか5.5㎏増(Sの新旧比較)の195㎏(Sとスペチアーレ)に抑えられている。それを実現したのは新開発のアルミ合金製「フロントフレーム」で、デスモセディチ・ストラダーレエンジンを剛性部材として活用するダイヤモンド型式の発展版と言えるものだ。国産車に見られるツインチューブフレームの前半部分だけという構成で、重量は単体で4㎏。シートレールは別体式でアルミ鋳造製となっている。
スタイルはマッスル版パニガーレ
パニガーレV4のデザインは、先代の1299パニガーレのスタイリング要素を検討することからスタートし、マッスルなマシンへと進化させたという。コンセプトは「インテグレーション(一体化)」で、それを象徴するように、マグネシウム製のヘッドライトステーはスタイルの一部に取り込まれ、バックミラーのベースにも活用されている。フルLEDヘッドライトは1299よりも小型化され、エアインテーク上部を縁どるデイタイムランニングライトが装着された。
カウルサイドのカウルが重なる部分は「デュアルレイヤーフェアリング」と表現され、張り出しを抑えたメインのカウルとエアアウトレットとして機能するもうひとつの層から構成されている。アッパーカウルから取り入れた走行風を内側の層にぶつけ、カウル横の速い空気との圧力差で空気の流れを良くしようとしていると思われる。また、アッパーカウルとタンク前半部をつなげたデザインとしているのもV4の特徴だ。
オーリンズ電サスはVer.2.0に進化
サスはグレードによって2種類。STDは国産車でもお馴染みのショーワ製ビッグピストンフォーク(BPF)をフロントに装着。リヤはザックスとしている。Sとスペチアーレは、オーリンズの電子制御サスペンション「スマートECシステム2.0」を採用。2.0は、ブレーキ、旋回、加速のそれぞれの状況に対してサスペンションの介入レベルを任意に調整できるのがアドバンテージとされ、ラップタイム向上に貢献する。
ブレーキは、ブレンボ製M50キャリパーの進化版であるStylemaキャリパーを全車に採用。従来のM50よりもコンパクトで剛性を犠牲にすることなく左右それぞれで70g軽量となっている。削り出しの高剛性なボディから精密なコントロールや高いレスポンスが得られるの同時に、330mm径のWディスクで高い制動力も発揮する。また、コーナリングABS EVOシステムで車体をバンクさせた状態でもABSが作動する。ボッシュ製9.1MP制御ユニットを採用した進化型は最新の作動ロジックを反映、設定は3段階に調整可能だ。
ついに4気筒エンジンで勝負!
「デスモセディチ・ストラダーレ」と命名されたユニットは、モトGPマシン=デスモセディチGPとの共同開発により随所にGPの技術が息づいている。90度V4のレイアウトや、バルブ強制開閉機構のデスモドロミックはもちろん、ボア81㎜のシリンダー、70度位相クランク、セミドライサンプ。そして鋭い倒し込みやウイリーの抑制などを実現する逆回転クランクシャフトもGPマシン譲りだ。一方、排気量はGPマシンの1000㏄より大きい1103㏄に設定。公道で走りを楽しむために重要な中速域トルクを厚くし、低回転域のトルクとパワーを向上させるのが目的と言う。最高出力は214㎰、最大トルクは12.6㎏–m。馬力は、ドゥカティとしてはもとより、市販公道バイクで文句ナシのナンバー1だ。
この馬力を支えるのは、前述の技術に加え、14:1というレーサー並みの高圧縮比。さらに、ドゥカティ初の可変長ファンネルや、φ52㎜相当の大径楕円スロットルボディもハイパワーに貢献する。一方、ストロークは53.5㎜でモトGPマシンより長く、公道モデルに必要なトルクを重視。回転数を抑えめにすることで信頼性を高めている。それでも上限1万2000rpm程度の1000㏄直4勢を凌ぐ、1万4500rpmという超高回転域まで回すことが可能だ。