スズキのターボチャージャー付きスポーツバイク=Recursion(リカージョン)に、最新情報が入った。エンジンは逆回転クランクというメカニズムを採用する可能性があるのだ。
MotoGPマシンと同じメカニズム
逆回転クランクとは、エンジンのクランクシャフトの回転方向が通常の逆に回転することを意味しており、最近ではRC213Vやずっと以前からYZR-M1が採用しているメカニズムとしても有名だ。その効能はホイールの正回転によるジャイロモーメントを打ち消し、安定性の代わりに運動性を高めるというもの。同じ直4を採用し、エンジンの構造がYZR-M1に近いと言われているスズキのGSX-RRもひょっとすると逆回転クランクかも知れない。
狙いの本筋は逆回転クランク以上に、ターボを設置するスペースが必要だったと推測できる。そのためにエンジンのバランサーをシリンダー後方に配置する必要があり、結果的に逆回転クランクシャフトを選択したのだろう。実際にリカージョンがこのメカニズムを採用するかどうかは不明だが、この特許が出願されたタイミングが2016年2月で、2015年10月の東京モーターショーで展示したエンジン・XE7(下写真)よりも新しいのが気になるところだ。
スズキのターボ付きスポーツバイクのコンセプトモデルであるRecursion(リカージョン)は、’13年の東京モーターショーで初公開され、その時は588ccのOHCツインが搭載されていた。車体はアルミフレームでインタークーラーはシートの下というユニークなレイアウトを採用した設計だった。次の’15モーターショーではエンジンだけの展示で、全く設計の異なるインタークーラーター付きDOHCツイン=XE7を出展。完成度は高く、これが市販版に近い状態で、’17モーターショーで完成車を出展する流れと思われてきたが…。
正回転のXE7か逆回転クランク仕様か?
推測になるが、XE7の出展後に逆回転クランク仕様にエンジンを設計変更したのかも知れない。本誌ではXE7がテスト走行を重ねていたとの情報を得ており、その結果さらに改良が進んだとしてもおかしくはない。また、逆回転クランクエンジンと同じ時期の特許に、フレームとリヤサスペンションの特許出願もあり、全面的に開発が進んでいる様子がうかがえる。最終的にどの仕様のエンジンを採用するか、または、何も発表されずに持ち越しとなるのか? 確定的は情報はないが状況証拠はかなり充実してきており、この秋の発表を大いに期待したいところだ。