専門機関にCBR1000RR SPを持ち込む
バイクを購入する際に足着きとともに気になる重要な要素が「車重」。でも、バイク雑誌やカタログを見ていると「乾燥重量」やら「装備重量」やらあって、どうなっているか分からないと思っている人もいるのでは? そこであらためておさらい。
むかし主流だったのが「乾燥重量」。これは、文字どおり乾燥で、燃料やらオイルやらクーラントやらのいわゆる水モノを抜いた車重のことを指していた。しかし、車重を軽く表記した方が高性能に見えた時代。この解釈がどんどんエスカレートしていって、バッテリーも電解液ではなく本体まるごと、なかにはブレーキフルードやサスペンションオイルまで徹底的に抜いた重量で表記した車両も出始めた。そこで、さすがにそれではユーザーのためにまずかろうとメーカー全体で話し合って、カタログスペックを「装備重量」にあらためるかたちに落ち着いた。だから、現在発売されている国産車はすべて「装備重量」で表記されている。この車重はどういった状態かと言うと、ガソリン満タンで実際にそのまま走り出せる状態での重量。つまり、もっとも現実に忠実な信頼できる数値というわけだ。
さて、そこで本誌がCBR1000RR SPの車重を編集部独自に測定してみたときの話。カタログスペック195kgに対して、編集部測定では199kgという値が出た。編集部内ではこの4kgを誤差範囲だろうと思っていたが、さにあらず。後日「誤差にしては開きがありすぎなのでは?」という指摘を外部から受けることとなった。それまで編集部では車重測定に家庭用の体重計を4個使用して合算していた。しかし、家庭用はかりは計量法による検査も必要ないことから専門の特定計量器に比べて誤差が大きく車重測定に適さないとのアドバイス。そこで改めて再計量に臨んでみたのだった。
なんと緯度補正(!)も行なっての計測
測定に使用したのは日本製衡所のトラックスケールZAK-06Wシリーズの5トンタイプで1kg単位での計量が可能。ポータブルタイプなので特定計量器ではないものの、メーカーの日本製衡所が定期的に校正を実施しているデモ機なのでそれと変わらぬ正確性が確保されている。加えてこの測定器には緯度補正も実施。厳密には補正されていないと赤道に近づくほど地球の自転の遠心力で軽く測定されてしまうのだ。それも補正した完璧な「質量」を測定できるのがこの機械。ちなみにメーカーでも車重表記にはこの「質量」として測った値が用いられている。
後はもちろん水平出しもきっちり行って再測定開始。そこで出た結果は・・・・・・194kg! 公称の195kgよりやや軽いのはタイヤ銘柄などの装備違いで変動することも考慮して若干余裕を持たせているためだろうとのこと。ということで、CBRのカタログに書いてある「車重」は本当に実際のマシンそのままだった。これなら、安心してバイク選びをすることができるね!