ストリート最強を目指す! 粘度指数170オーバー! 新進気鋭の国産エンジンオイル〈隼オイル〉
この夏、新たなオイルブランドが誕生した。その名も「隼オイル」。高温になりがちなビッグバイクのスポーツモデル用に新たに開発されたオイルだ。今回その名前と同じスズキのハヤブサに注入し、その性能をテストしてみた。
速さの象徴「隼」をモチーフとして誕生した「隼オイル」
鋭い爪とくちばしを持ち、急降下時には時速300km以上の速度にも達するという世界最速の鳥「隼」。スーパースポーツモデルを凌駕するアルティメット(究極の)スポーツモデルとして1999年に発売されて以来、世界屈指のハイスピードモデルとして今も人気のスズキ Hayabusa(ハヤブサ)の車名も、隼に由来しているのは有名な話である。
そんな速さと強さを象徴するハヤブサをモチーフとしたのが、ストリート最強のバイク用国産エンジンオイルを目指して開発された「隼オイル」である。この新進気鋭のオイルにはいったいどのような特長があるのだろうか。
高級オイル専門の国内メーカーとタッグを組み、高温耐久性を追求
「隼オイル」を販売するのは、自動車や物流業界向けに部品や用品の通信販売を行っている株式会社ヨロスト。同社スタッフは車やバイク好きが多く、四輪整備工場向けに先行してオリジナルエンジンオイルをリリースしていることが開発のきっかけとなった。
オイル専業メーカーではないヨロストが独自ブランドのエンジンオイルを開発するにあたり、パートナーとして選んだのが、100年以上に渡って製油/オイル製造を行ってきた国内有数のオイルメーカーであるミカドオイル。
メディアを通じて盛んにプロモーションを行ったり、用品店や量販店で頻繁に見かけるタイプのブランドではないが、メジャーブランドから調達したベースオイルを元に自社製品やOEM製品を開発するブレンドメーカーとして、長い歴史と実績がある。
隼の名にふさわしい最高性能のバイク用エンジンオイル開発において重視したのは、“高温耐久性の高さ”と“フリクションロスの低減”の2点。
バイクの中で一番の重量物であるエンジンのコンパクト化は、高性能化にとってのカギで、クランクケースが小さくなるのに比例してエンジンオイル容量も減少する傾向にある。エンジンオイルには潤滑だけでなく放熱作用もあり、冷却方式の主流が水冷式となっても、エンジン各部からオイルが受ける熱量は少なくない。
出力が向上する一方で、オイル容量が減少すれば熱による負荷は増大する。水冷化によって、空冷時代に比べればエンジンがオーバーヒートに至ることは少なくなったが、高温状態が長く続くことで性能は低下する。したがって、高性能バイクに対応するためには高温耐久性の高さが必須条件となる。
一方のフリクションロスの低減も、シフトフォーリングやスロットルレスポンス、燃費の善し悪しを左右する重要な要素となる。高負荷/高回転走行時には高温耐久性がものを言うが、高速道路をスロットル開度が小さな領域で淡々とクルージングするようなシーンでは、フリクションロスを減らすことが快適性につながる。
ひと言で高性能オイルといっても、複数の条件をクリアするのは簡単ではないのだ。
ベースオイルに最先端の高性能 mPAO+アルキルナフタレン
高温域でも油膜がしっかり機能しながら、低温域のフリクションロスが少なく、バイク用エンジンならではの湿式クラッチを滑らせないといった条件を満たすために採用されたのが、最新のmPAOとアルキルナフタレンを配合したベースオイルである。
エンジンオイルは、基油とも呼ばれるベースオイルに各種の添加剤を加えて製品化されているが、基本的な性能はベースオイルに依存する。このベースオイルは、鉱物油/部分合成油/100%化学合成油に分類され、後者になるほど性能が高くなる。
「隼オイル」を開発したヨロスト。とミカドオイルに聞いたところ、使用するmPAOは、分子組成が均一で温度による粘度変化が少ない強靱な分子構造を持つPAO(ポリアルファオレイン)をメトロセン触媒で重合させることで、さらに分子構造を強靱化した超高性能PAOである。
さらに、①熱安定性 ②酸化安定性 ③潤滑性能をより向上させ、④極性によるドライスタート防止効果があるアルキルナフタレンを加えることで、ベースオイルとしての性能を磨き上げている。
アルキルナフタレンは、高級オイルによく使用されるエステルと同じような効果を持つが、エステルの欠点である吸湿性の高さ/酸化安定性の悪さ/他の添加剤の効果を阻害するなどの弱点を克服した、エステルをも超越する高性能が特徴、とのことだ。
ちなみにミカドオイルでは、mPAO/アルキルナフタレンとも世界的なオイルメジャーであるエクソン・モービル社製を使用している。それぞれの配合や合成方法はメーカーごとに独自のノウハウがあるものの、世界屈指の素材から作り出されているのが「隼オイル」なのだ。
低温域から高温域まで、優れた性能を維持する粘度指数の高さと高い耐久性を両立
エンジンオイルには元来、低温で粘度が高く高温で粘度が低くなる特性がある。一方、同じ液体でも水は常温でも100℃でも粘度は変化しない。高温時と低温時のオイルの粘度の差を粘度指数と呼び、その差が大きいオイルの粘度指数は小さく、差が小さいオイルの粘度指数は高いと表現する。
具体的には高温域の粘度が高いのに低温域の粘度が低いオイルは粘度指数が高く、低温域でフリクションロスが小さく高温域で強い油膜を保持できる優れたオイルということになる。
この粘度指数はベースオイル自体の性能や特性によって上下するが、さらにベースオイルに加えられる複数の添加剤のうち、粘度指数向上剤によって決定される。粘度指数向上剤は多くのエンジンオイルに含まれているが、これにもいくつものグレードや性能があり、使用する向上剤によっては性能を発揮できる期間(走行距離)に長短がある。
バイクのエンジンは自動車と異なり、クランクケース内だけでなくミッションのギヤ部分もエンジンオイルで潤滑しており、歯車部分ではオイルにせん断力が加わっている。このせん断力は粘度指数向上剤の劣化の大きな要因となっており、低性能な粘度指数向上剤を使用すると、走行距離が短いにもかかわらず高温域の粘度が低下して、シフトタッチの悪化やエンジン振動が増加する原因となる。
「隼オイル」に使用されている粘度指数向上剤は、最高級グレードであるとともに、他の添加剤とのブレンドによって走行距離を重ねても粘度変化が少なく、新油から交換直前まで油膜保持性やスムーズなシフトフィーリングが持続するよう設計されている。
高速走行時の快適性はもちろん渋滞路でもスムーズなシフトタッチを持続
ではここで、新車から約1000km走行したほぼ新車のHayabusaに「隼オイル」を注入して走行してみよう。粘度は10W-40と10W-50の2種類があり、猛暑であることを考慮して今回は10W-50を使用した。
エンジンは排気量1300cc、最高出力188馬力を発生するにもかかわらず、エンジンオイルの全容量は4.1L、オイル交換時の必要量もわずか3.2Lにとどまる。ただしカウル内のラジエーターの下部には空冷式オイルクーラーがあり、走行風でオイルを冷却する設計となっている。
先述のとおり、高性能ベースオイルと高性能添加剤を組み合わせた「隼オイル」を注入し、走り出してすぐに実感できるのは、シフトフィーリングの柔らかさと市街地走行でもわかる厚みを増したトルク感。
隼ユーザーからも時折耳にする、オイルによっては新油交換後500キロほど走行後に感じるシフトタッチの硬さは一切感じられない。
一方で、「隼オイル」が真価を発揮するのは、ツーリングやスポーツ走行、ゴー&ストップを繰り返す市街地走行を3000km程度行った後だろう。メーカーが自信を持っている粘度低下率の低さ。3000km走行後に97%以上もの粘度維持を実現している実力を追っていきたい。
8月20日の隼駅まつりでお披露目の後、8月23日から本格リリース
エンジンオイル選びの基準は人それぞれ。決まったブランドや銘柄を使い続けるライダーもいるだろうし、ショップのお勧めに従うライダーもいるだろう。あるいは用品店の店頭やネットで気になったオイルをあれこれ入れ替えているライダーもいるかもしれない。
ここまで説明してきたとおり、誕生したばかりの「隼オイル」は、卓抜したベースオイルと高性能添加剤を組み合わせた意欲的なエンジンオイルであることは間違いない。
今後、2023年8月20日(日)に鳥取県八頭町の若草鉄道隼駅で開催される「隼駅まつり」で特設ブースを出展してプレリリースを行い、8月23日(隼の日)よりHayabusaオーナー限定で先行販売が予定されている。
Hayabusaユーザーはもちろん、最高性能の国産エンジンオイルを求めるライダーにとっても一度は使ってみたいオイルとなることだろう。
※本記事はヨロスト。が提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。