30万円から買える軽二輪×5選! コスパ最強の【150cc〜250ccクラス】ニューモデル
高速道路が通行可能で車検がないなど、メリットの多い軽二輪クラス。パワフルな250ccフルサイズをはじめ、近年は150ccや190ccといった排気量のやや少ない輸入車が、車体の軽さや希少性、そしてコストパフォーマンスの高さで人気を集めている。とはいえ、気になるけれども情報が少ないので二の足を踏んでいる人も多いはず。そこで、売れ筋のアジアン輸入車5機種を厳選し、どれほどのパフォーマンスを有しているのか詳しく紹介したい。
●文:大屋雄一 ●写真:真弓悟史 ●BRAND POST提供:バイク館
- 1 ビギナーからベテラン層まで人気のアジアン軽二輪
- 2 1)ネオクラ? クロスオーバー? これは走るインド映画だ!──ヤマハ FZ-X
- 3 2)これぞ戦うネオクラ、スポーティなハンドリングが光る──ホンダ CBF190TR
- 4 3)フルパニア&ガード類マシマシのコスパ最強アドベンチャー──ホンダ CB190X
- 5 4)MT-25にバトルを挑むハイスペックなシングルネイキッド──ヤマハ FZS25 ABS
- 6 5)ダートよりも都会が似合う軽二輪クロスオーバー──ホンダ CB200X
- 7 倉庫で全輸入車をプレ整備、だから安心&即納が可能!
- 8 番外編 1)稀少なフルサイズの本格デュアルパーパス──ヒーロー X-PULSE200 4V
- 9 番外編 2)スーパーカブ110より10万円以上も安い実用キング──ホンダ CD110DX
ビギナーからベテラン層まで人気のアジアン軽二輪
現在、世界のバイク需要はアジア市場が7割以上を占めており、日本メーカーの車両であっても、グローバルモデルの多くはそうした新興国のニーズを満たすように設計されている。そして、膨大なラインナップの中から日本人の趣味に合いそうな一部のモデルだけが、国内の正規ラインナップに加わっているというのが現状だ。
今回紹介する輸入車(日本メーカーが海外で生産した車両を輸入したもの)は、メーカーの思惑や諸事情によってその選に漏れたモデルということになるのだが、なかなかどうして、クラスを超えた先進のギミックを採用している機種が多く、彼の国のライダーがうらやましくなるほどだ。そして、250ccに満たないモデルは車重が軽いことから、取り回しに不安を覚えるライダーにとってもメリット大だろう。
生産台数が多いことから製造コストが抑えられ、車両価格が安く設定されているというのもうれしいポイント。免許を取ったばかりの初心者から、バイクに乗るのは久しぶりというリターン組まで、多くのライダーにお勧めできるのがアジアン軽二輪だ。
1)ネオクラ? クロスオーバー? これは走るインド映画だ!──ヤマハ FZ-X
最初に紹介するのは、ヤマハインディアのFZ-Xだ。ヘッドライトやタンクの造型はXSR風だが、ブロックパターンタイヤとフォークブーツはスクランブラー的でもある。いったいコイツは何なんだ? などと首を傾げながらクラッチをつないだ瞬間、これは正統派ネオクラシックだと思い知らされた。
排気量は149ccだが、またがって感じる車格は250ccかそれ以上。グリップ位置の高いハンドルと厚みのあるシート、そしてフォワード気味のステップで構成されるライポジは、まさに昔ながらの殿様乗りだ。12.4psを発生する空冷シングルは、この大柄な車格に対してわずかに非力に感じるが、とはいえ不足に思う場面は一切なし。ポンポンと早めにシフトアップし、4000~5000rpm付近でシングルの鼓動を感じつつ流すのが実に心地良いのだ。
ハンドリングは、前後17インチホイールながら舵角の付き方が穏やかで、リヤを軸にゆったりと向きを変える。これがネオクラらしいと感じる一番の要素で、着座位置やリヤタイヤ幅(140のラジアルだ)などの設定が功を奏しているのだろう。なお、ABSはフロントのみだが、ブレーキは前後ともコントロールしやすく、制動力も十分以上だ。
ダンスあり、アクションあり、そしてロマンスありと、娯楽要素満載のインド映画を彷彿させるFZ-X。どんな遊び方も受け入れてくれそうな、懐の広い1台だ。
YAMAHA FZ-X ●30万9000円
2)これぞ戦うネオクラ、スポーティなハンドリングが光る──ホンダ CBF190TR
続いては、中国の新大州ホンダのCBF190TRだ。CBF190Rというセパハンを採用したストリートファイター系ネイキッドをベースとしているので、φ37mm倒立式フロントフォークや中空アルミキャストホイール、ショートサイレンサーなどにその名残が見られるが、とはいえネオクラシックらしいスタイリングにまとめているのは見事だ。そして、先に紹介したヤマハのFZ-Xと同様、このCBF190TRもブロックパターンタイヤやエンジンアンダーガードによって、見方によってはスクランブラー的でもあるのが興味深い。
さて、その走りはというと、CBF190R譲りのスポーティなものだ。倒し込みや切り返しはやや手応えがあるものの、接地感を伴いながらバンクとほぼ同時にフロントからグイグイと向きを変える様は、完全にスポーツバイクのそれだ。特に感心したのは倒立フォークを含むフロント周りの剛性感で、フロントブレーキを残しながらタイトコーナーへスパッと進入でき、旋回中のライン変更も自由自在だ。
16.9psを発生する184ccの空冷シングルは、この運動性の高いハンドリングに見合ったもので、レッドゾーンの始まる9500rpmまで淀みなく吹け上がる。一方で、風景を眺めながらトコトコと流すような走りにも対応でき、スポーツ一辺倒の特性になっていないのが好印象だ。
これぞネオクラの皮を被った狼。走りにも妥協したくないライダーにピッタリだ。
HONDA CBF190TR ●42万9000円
3)フルパニア&ガード類マシマシのコスパ最強アドベンチャー──ホンダ CB190X
これが軽二輪!? などと思わず疑ってしまうほどの威風堂々としたモデルを紹介しよう。五羊ホンダの人気機種、CB190Xだ。筆者は2019年に、モデルチェンジ前のCB190Xで東京から御殿場まで移動したことがあるのだが、東名高速での100km/h巡航も余裕でこなせたこと、そして高速域での直進安定性や防風効果の高さ、優れた乗り心地に感心したことを、今も鮮明に覚えている。
現在販売されているモデルは、ヘッドライトがハロゲン球からLEDに、メーターがフルLCDとなった最新仕様だ。エンジンガードはシュラウドまで覆う形状となり、ナックルガードの面積が20%増えるなど、各種装備も進化しているが、基本的なスタイリングや仕様は前作を踏襲している。あらためて試乗してみると、このフルパニアという装備から想像できないほどハンドリングはニュートラルで、どんな操縦であれ車体を傾けてさえしまえば曲がれるという安心感がある。エンジンについては、CBF190TRと同系の184cc空冷シングルで、車重が重い分だけ高回転域を多用する傾向にあるが、不快な微振動が少ないのでストレスを感じにくい。
なお、タイヤが前後17インチであること、さらにサスストロークがそれほど長くないことなどから、ダートでの無茶な走りは禁物だ。とはいえ、アドベンチャーバイクとしての押し出し感はスズキのVストローム250を超えるほど。キャンプツーリング派にぜひ検討してほしい秀作だ。
HONDA CB190X ●45万9000円
4)MT-25にバトルを挑むハイスペックなシングルネイキッド──ヤマハ FZS25 ABS
超小型のLEDヘッドライトをはじめ、タンクカバーからつながるエアインテーク風のシュラウドや、スーパースポーツに通じる前後別体式シートなど、MT-25を彷彿させる精悍なスタイリングが特徴的なヤマハインディアのFZS25。MT-25が水冷パラツインなのに対し、FZS25に搭載されているのは249ccの空冷シングルだ。また、フロントフォークはMT-25の倒立式に対してこちらは正立式で、フロントタイヤが1サイズ細いなどの違いもある。
このエンジン、日本では販売終了となったセロー250系の空冷単気筒で、セローにはないオイルクーラーが装備されている。これまでに紹介した車両が149ccや184ccだったので、設計が古いとはいえ249ccはさすがに低回転域からトルクフルに感じられる。6000~8000rpm付近にパワーの盛り上がりがあり、レッドゾーンの始まる1万rpmまでしっかりと吹け上がる特性だ。最高出力は20.8psで、MT-25の35psとは開きが大きいが、全域を使えるという楽しさではFZS25も決して負けてはいない。
ハンドリングは基本的に扱いやすく、ライダーの操縦次第で高い旋回力を引き出せるという奥深いもの。フロントフォークは正立式ながらφ41mmと太く、リヤショックは7段階のプリロード調整が可能など、足周りが優れている点も見逃せない。アルミ製のグラブバーやナックルガードなどを装備しながらMT-25より26万3500円も安く、非常に人気があるというのもうなづける1台だ。
YAMAHA FZS250 ABS ●36万9000円
5)ダートよりも都会が似合う軽二輪クロスオーバー──ホンダ CB200X
先に紹介したCB190Xは中国の五羊ホンダ製で、このCB200Xはホンダインディア製。どちらも184ccの空冷シングルを搭載しているが、こちらは最高出力が1ps多い17.3psを公称する。CB200Xはホーネット2.0というスポーティなネイキッドをベースとしており、ショーワ製の倒立式フロントフォークや前後17インチのアルミキャストホイールにその名残が確認できる。そして、おそらくLEDのヘッドライトユニットやLCDメーターは、ホーネット2.0から流用したものだろう。
エンジンは、5000~8000rpmの間でわずかなパワーの盛り上がりを感じさせつつ、9000rpm付近から始まるレッドゾーンまでフラットに伸び上がっていく。エンストとは無縁と思えるほど低回転域が粘り強いなど、実用性に徹したエンジン特性はCB190Xに通じる。
ハンドリングについては、ホーネット2.0をベースとしながらも舵角の付き方は穏やかで、クロスオーバーらしい落ち着きを見せる。サスストロークがそれほど長くないので、軸足はあくまでもオンロードにあるが、フラットダートをトコトコと流す程度なら楽にこなせるだろう。
「アーバンエクスプローラー」をスタイリングのコンセプトに掲げるだけあって、このCB200Xは林道よりも都会が似合うのは間違いない。CB190Xほどアドベンチャー色が強すぎるのはちょっと……、という人に検討してほしい稀少な軽二輪クロスオーバーだ。
HONDA CB200X ●33万9000円
倉庫で全輸入車をプレ整備、だから安心&即納が可能!
今回試乗した海外生産の軽二輪モデルは、全国に63店舗を展開する「バイク館」が独自ルートで輸入したものだ。同社では、入荷した車両を箱詰めのままショップに降ろすことはせず、専門スタッフが開梱して組み立て、エンジンを始動し、走行に不具合がないかを全車チェックしているという。ゆえに、ショップでの納車整備が最小限で済むことから即納が可能であり、お客さんが望めば商談中にエンジン音も確認できるのだ。
「そこまで手間をかけるのは、アジアからの輸入車に対するお客様の不安を払拭するためですね。それに、ブレーキパッドやエアフィルター、レバー類、一部の外装パーツといった補修部品を1万点近くストックしているので、納車後のアフターケアも万全です」と、答えてくれたのは川越L&Iのセンター長である新井雄介さん。
倉庫の片隅には5台が同時に整備できるピットがあり、メカニックが手際よく輸入車をチェックしていた。ここまで手間をかけてすら車両価格が安いというのはうれしい限りだ。
番外編 1)稀少なフルサイズの本格デュアルパーパス──ヒーロー X-PULSE200 4V
インド最大手にして世界ナンバー2のシェアを誇るヒーロー・モトコープ社。このエクスパルス200 4Vは、フロントに21インチ、リヤに18インチのワイヤースポークホイールを履く、軽二輪では稀少なフルサイズのデュアルパーパルモデルだ。
シリンダーの左側に大型オイルクーラーを備えたエンジンは、排気量199.6ccから19.1psを発生する油冷SOHC4バルブ単気筒で、キックペダルによる始動も可能だ。スロットルを開ければ実直にパワーが増していき、適度にレスポンスがいいこともあって、158kgの車体をキビキビと走らせることができる。
ハンドリングは、大径ホイール特有のバンク角を主体とした旋回特性で、大きめに発生するピッチングはまさにデュアルパーパスのそれ。ホイールトラベル量はフロント190mm、リヤ170mmとオンロードモデルよりは長めなので、フラットダートを流す程度なら余裕で対応できる。シート高はやや高めだが、座面が広くてクッション性に優れるので座り心地は優秀。
LEDヘッドライトやデジタルメーター、スクリーンなど装備も充実しており、手頃な価格のデュアルパーパスとしてお勧めできる1台だ。
番外編 2)スーパーカブ110より10万円以上も安い実用キング──ホンダ CD110DX
最後に紹介するのは、ホンダのCD110DXだ。かつてのビジネスバイクである“CD”シリーズの名を継承するものの、スラントしたヘッドライト&ビキニカウル、風の流れを想起させるグラフィック、そしてスポーティな5本スポークのアルミキャストホイールなど、かなり洗練されたスタイリングとなっている。エンジンは110ccの空冷SOHC2バルブ単気筒で、ボア×ストローク値はスーパーカブ110と共通。ACGスターターをはじめ、低フリクション技術を多数投入したeSP仕様であり、キックペダルによる始動も可能だ。
ボトムニュートラルの4段ミッションはクラッチレバー付きで、牧歌的な回転フィールや実用的な出力特性はカブシリーズに限りなく近い。ハンドリングは、前後18インチタイヤと長めのホイールベースにより安定成分が強めで、細いフロントフォークからは想像できないほど車体はしっかりとしている。
ブレーキは前後ともφ130mmドラムで、リヤを操作するとフロントも連動するコンビタイプだ。大型のリヤキャリアをはじめ、チューブレスタイヤやシールチェーンの採用など、過酷なインドで徹底的に鍛えられた実用バイクだ。これがスーパーカブ110より10万円以上安いというのは驚きでしかない。
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