バイク用ジーンズの定番”3Dフィットライディングパンツ”はいかにして生まれたのか【56デザイン×エドウイン】
バイクアパレルブランド「56デザイン」と、ジーンズの国内トップメーカー「エドウイン」。この異業種コラボによって誕生したライディングパンツが、ライダーの間に浸透し早くも10年を迎えた。それぞれのキーマンによる特別対談をお届けしよう。
●文:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:真弓悟史●外部リンク:エドウイン ●BRAND POST提供:56デザイン
デザイナー氏もバイク乗り 相談室へのメールが始まり
中野「私がモトGPに参戦していたころ、日本では何となくジーンズでバイクに乗ることがタブー視されていたんですよ。ごつめのバイク用パンツじゃなきゃダメみたいな。でも、海外メーカーの新型車のカタログには、ジーンズを穿いたモデルさんがバイクに乗っている。
カジュアルな方が絶対にカッコいいよなぁという気持ちが頭にあったんですね。その後、56デザインを立ち上げてしばらくしたころ、エドウインさんの防風ジーンズを見つけて『これだ!』と思ったんです。で、お客様相談室へすぐメールを送りました(笑)」
石黒「営業部から『こんなメールが来たぞ』と言われて驚きました。私もバイクに乗っていまして、中野さんについてはロードレースに華々しくデビューしたころから存じ上げていました。弊社としても、モーターサイクル業界向けのジーンズ販売が順調になってきたころで、それなら一度お目にかかりましょうと」
中野「まだ現役を引退して間もないころだったので、レーシングスーツやグローブを職人さんと開発していた時代の考えを強く引きずっていたんですね。なので、最初の打ち合わせでは、ジーンズと言えどもバイクに乗るんだから、あっちにもこっちにもパッドを入れたいと伝えたんです。
若さゆえというか、まずは業界に一石を投じたいという気持ちが強かった。そうしたら、要望通りのサンプルを作ってくれまして、それがもう雪だるまっぽかった(笑)」
石黒「当初はそうでしたね。ほかにもこちらから苦言を呈して止めたことが多々ありました。ご要望通りに作ることは可能ですが、過去にそれが売れなかったり、お客様に満足していただけなかったというデータがあるからです。中野さんは勘が良い方で、理解が早く助かりました」
立体裁断縫製は難易度高し インフラ整備も同時に進行
中野「自分はレース業界しか知らない人間だったので、石黒さんに『最初はシンプルに行きましょう』と言われてハッとしたんです。そもそもカジュアルさを目指して始めたわけですから。そこで、見た目は5ポケットジーンズのまま、56デザイン独自の機能として立体裁断の3Dフィットシステムを提案されました」
石黒「これは非常に特殊で、腿や膝を切り返さずにライディングフォームにフィットする設計です。私がきちんと指導したお弟子さんにしか作れないもので、外観を似せるだけならそれなりにできますが、本来の機能を持たせるとなると、難易度が飛躍的に高まるという商品なんです」
中野「それと、生地については耐摩耗性の高いものを提案していただきました。当初はザイロンで、今はコーデュラですね。実際、アクシデントに遭われたお客様から『破れなかったよ!』という声も届いているので、これを選んで良かったなと」
石黒「ジーンズの場合、作って終わりではなく、裾上げまで対応する必要があります。ですので、バイク用品店に協力して頂きました。我々が勧めるミシンを購入して頂き、その後スタッフに縫製指導を行いました。結果、多くのバイク用品店で裾上げが可能になりました」
中野「そうしたインフラ整備まで頭が回らなかったんです。石黒さんには東京モーターサイクルショーでウチのブースに来ていただいて、その場でお客様の裾上げを1日中してもらったこともありました(笑)」
石黒「あれは大変でした(笑)。とはいえ、リアルな声を直接聞けたことは有意義でしたよ。そうしたさまざまなご意見を、毎年のリサイズやブラッシュアップに反映します」
10年でライダーの間に浸透 今後も恩返しを継続したい
中野「エドウインさんの協力もあって、3Dフィットライディングパンツは人気商品となり、バイク乗りのジーンズをタブー視する風潮はだいぶ減ったかと思います。一方で、そうしたムードに乗じて、ライバル製品が一気に増えて飽和状態になりました。ウチも正直なところ、ジーンズから撤退しようか迷うほど売り上げが落ち込んだんですよね」
石黒「ただ、弊社には50年近い販売データがあるので、それを元にいろいろ提案させていただきました。それに、品質はどこにも負けない自信があるので、続けていれば絶対にお客様は戻ってきてくれますから」
中野「その言葉に支えられて10年も続けられました(笑)。実際、リピーターの方が多いんです。56デザインは、創立当初からフード付きのライディングジャケットを出したりとか、今はインナープロテクターを提案したりと、ライフウィズモーターサイクルのコンセプトは変わりません。そうしたカジュアルなコーディネートには、ボトムスはジーンズがぴったりなんですよね」
石黒「中野さんが一番最初の打ち合わせのとき、『長くお世話になった二輪業界に恩返しがしたい』とおっしゃっていて、それが強く記憶に残っているんですよ。結果、こうして有言実行できたわけですからね」
中野「立体裁断の穿きやすいジーンズとしてライダーの間に浸透したという手応えがあるので、今後もさらに攻めた商品を出したいですね。新しいことにチャレンジするのは56デザインの役目だと思いますから」
代表モデルの細部をチェック
ギャラリー
最後に、終始和やかな雰囲気で行われた対談の模様と、対談場所の写真をお届け。
※本記事は56デザイン/エドウインが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。