『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第22回は、昭和45年の展望有料道路として開通したルート(現在は無料)で、魚沼丘陵を南北に貫く魚沼スカイラインを紹介する。
TEXT:Hidetoshi KANDA
最高級米の産地が一望! 中越髄一の天空ロード
ダイナミックな山岳絶景ロードの乏しい地域と言われる中越地方ながら、地域髄一の展望を誇る本格的山岳ワインディングルートがこの魚沼スカイラインだ。
総延は18.8km。展望有料道路として昭和45年に開通したルートで、魚沼丘陵の稜線を南北にトラバースしている。しかしながら、単に稜線上を繋ぐのみのルートの為、純粋に交通連絡路としての存在意義は薄く、観光目的の車両以外は非常に少ない。その為、観光ハイシーズンでも渋滞する事は皆無で、快適なライディングが楽しめる穴場的雰囲気の道でもある。
そのハイライトは、何と言っても魚沼盆地を一望するその展望。魚沼展望台・十日町展望台・八箇峠展望台の計3カ所に展望台が設けられており、関越自動車道沿線の街並みが眼下に一望できる。果てしなく広がる田園地帯は、国内最高級の米“魚沼産コシヒカリ”の産地。遥か彼方には霊峰八海山。迫力の大パノラマ風景は、感激間違い無しのまさに絶景だ。
特筆すべきは景色だけではない。山岳感抜群のその道路様相もライダーにとっては楽しみの一つだろう。序盤は1.5車線のまさに酷道様相ながら、稜線付近まで高度を上げると比較的好線形なワインディングの連続。夏場は沿道に繁る草の為、少々展望は悪いながらも、全線にわたり信号は無し。展望の事を忘れ、思わずノンストップで駆け抜けてしまう程の好戦的なワインディングが続くのだ。
また、アプローチルートの楽しさも魚沼スカイラインの特徴の一つだろう。関越自動車道でアクセスすると、塩沢石打ICが最寄り。魚沼丘陵を超え、新潟県の津南町へと続く国道353号の十二峠手前付近よりスカイラインが始まるのだが、この道は首都圏方面から北信州への最短ルートでもあるのだ。
つまり、信州旅の序盤の楽しみとして魚沼スカイラインを活用する事も可能という事。当然、中越旅では定番の絶景ロードではあるが、信州旅の楽しみとしても十分検討の余地のあるポイントでもあるだろう。
しかしながら、ブラインドコーナーや狭路区間も点在する為、“お手軽”とは言い難い少々ベテラン向けのルート。決して初心者にお勧めできない訳ではないが、細心の注意を払っての走行をお勧めしたい。
ロード情報
交通量:特に利便性の高いルートではない為か、交通量は非常に少ない。但し、ダイナミックな線形が連続する事もあり、高速で走る地元ライダー&ドライバーも多く注意は必須だ。
路面:かつての有料道路ながら、狭路区間も多い為、決して快適ツーリングルートとは言い難い。路面の荒れも多少目立ち、落石も見受けられる為、大型車両は特に注意して走行しよう。
~新潟県道560号線 魚沼スカイライン~
秘境感★★★
天空感★★★
潮風感
爽快感★★★
根性感★★★★
開放感★★★
関連する記事/リンク
『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第21回は、オホーツク海沿岸を走り抜ける日本最北の国道だ。総延長319kmは生活感の[…]
『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第20回は、天草諸島を橋梁でつなぐ少々マイナーな“天草パールライン”だ。日本3大松島[…]
『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第19回は、その名があまりにも有名な“ビーナスライン”を紹介しよう。高原から山岳地帯[…]
モトツーリングとは ヤングマシンと同じ内外出版社が刊行する、バイクツーリング専門誌。オシャレでキレイな旅よりも、現地に赴いてのガチンコ取材による深堀り記事制作を得意とする。偶数月1日発売。