マシン・オブ・ザ・イヤー2018
大排気量車スポーツ用&オフロード用タイヤ

ブリヂストンが2つの新バトラックス「S22」「AX41」を発表

ブリヂストンから大排気量ロードスポーツ用ラジアルタイヤ「バトラックス・ハイパースポーツS22(エスニーニー)」と、同じく大排気量のアドベンチャー車によるオフロード走行に特化した「バトラックス・アドベンチャークロス AX41(エーエックスヨンイチ)」が発表された。ともに来年2月から発売を予定している、2つの新タイヤをレポートする。

「S21にどう勝つか」を追求したS22

S22はワインディングでのスポーツ走行をメインに、サーキット走行にも対応する大排気量車用のスポーツラジアルタイヤ。‘16年に発売され、アフターマーケットだけでなく新車装着タイヤとしても数多くの採用実績を持つ「S21」の後継モデルとなる。評価の高いこの前作に“どうやって勝つか?”がS22の開発テーマだったそうで、高いグリップ力と耐摩耗性、ニュートラルな操縦性といったS21の美点を継承しつつ、軽快感を高めながらグリップ力を増し、さらにスポーツタイヤにも関わらず、ウエット性能の向上というチャレンジまで行ったのがS22の特徴となる。

ブリヂストン バトラックス ハイパースポーツS22

S22の先代モデル・バトラックス ハイパースポーツS21。

そのキモとなるのは、まずは新設計のトレッドパターンだ。ショルダー部に刻まれる溝の面積をS21よりも増すことでウエット性能を高めつつ、フロントタイヤはセンター部の溝の長さを短くするなどのチューニングでトレッドを高剛性化。初期応答性を高めて軽快感を向上させている。タイヤのプロファイル(=断面形状)はS21を踏襲するが、これらのチューニングにより、S22は前後輪が同時にバンクしていくようなバランスの良いハンドリングを実現しているという。

先代モデルのS21に対し、ショルダー部の溝面積を増加。見比べても一目瞭然だが、グラフでも浅いバンク角の溝比率が高まり、フロント中央では比率を下げていることがわかる。

さらにコンパウンドも新作だ。ポイントは水との親和性が高く、ウエット性能向上に直結する素材であるシリカを、従来よりも小型化した「微粒径(びりゅうけい)シリカ」とした点。コンパウンド中のシリカをより細かく、まんべんなく分散させることができるため、タイヤ表面に存在するシリカの総面積を増やせるのが美点。結果的にシリカと路面の接地面積はS21比で25%もアップし、ウエット性能の向上に大きく貢献している。この微粒径シリカを含むコンパウンドはリヤセンターに用いられるが、他部位にも素材を最適化した新コンパウンドが用いられており、ドライグリップ向上が図られている。

「微粒径シリカ」を使ったコンパウンドは、5分割されるリヤタイヤのセンターゴムに採用。シリカをより小さく、均等に混ぜ合わせることで路面とシリカの接触面積を大幅に増加。ウエット性能を向上させている。

この新トレッド&新コンパウンドなどの相乗効果により、サーキットでのコーナリング速度はS21比で最大15%アップし、ウエット時のラップタイムも約5%短縮。S21を全面的に上回る性能を獲得しているという。‘19モデルのカワサキ・ニンジャZX-6Rに新車採用されているのもトピックだ。

ブリヂストンによる性能グラフ。ドライ/ウエットともに前作のS21を全面的に上回る。

トレッドに「デコレーショングルーブ」と呼ばれる細く浅い溝が刻まれるのもS21同様。性能よりも外観上のインパクトや個性を狙ったもので、モチーフもS21同様に日本刀だ。

フロント1サイズ/リヤ5サイズを設定。タイヤは価格がオープンの製品も多いが、メーカー希望小売価格が設定されるのもS22の特徴だ。

 

BS初のビッグバイク用オフタイヤ・AX41

BMWのGS系やホンダ・アフリカツインなど、大排気量のアドベンチャー車に対応するのがAX41。ゴツいブロックパターンからも分かるように、本格的なオフロード性能を盛り込まれているのが最大の特徴だ。ビッグアドベンチャー向けのオフロードタイヤは従来、ミシュランやメッツラーなど欧州メーカーの独壇場だったマーケットで、ブリヂストンとしても初挑戦のジャンルとなる。

ブリヂストン バトラックス・アドベンチャークロスAX41

同社には既に「バトラックス・アドベンチャーA41」というビッグアドベンチャー向けタイヤがあるが、これはオンロードでのツーリング用途を主眼とする製品。下の比較グラフでも明確に分かるが、AX41はドライの安定性やグリップ力はA41に譲っても、オフロード性能に明確に特化しているのがポイントとなる。

A41に対し、大きくオフロード寄りとされたAX41の性能比較グラフ。ビッグオフローダーで林道を楽しむユーザーなどに向けた製品と言える。

こちらはBSのビッグアドベンチャー用タイヤ「バトラックス アドベンチャーA41」。主に舗装路でビッグアドベンチャー車を使うユーザー向けのタイヤだ。

とはいえ、ビッグアドベンチャーは高速道路を使った移動も多いため、AX41は高負荷時でもブロックがちぎれにくい「ハイタフネスコンパウンド」を採用したうえ、ブロック形状にも偏摩耗を抑制する工夫を盛り込んでいる。その上でタイヤの大径化で外周長を拡大し、ブロックをより多く、かつ短いピッチで配置するなど、同社が全日本モトクロスなどで培ったノウハウが注がれることで、高いオフロード走破性も実現しているという。

ブロックの断面積をA41比で約30%アップさせたうえ、外径を大きく取り、ブロックのピッチも詰めることで周上にブロックをより数多く配置。オフロードでのグリップ力を高めている。

偏摩耗抑制のため、変形を見越した形状にブロックを設計。蹴り出す側のブロック飛びや欠けを抑制する。

トレッド溝底部にはロゴが刻まれる。デコレーショングルーブなどと同様、外観上の個性に貢献する。

全9サイズをラインナップ。全種チューブレス対応だが「UM」とあるサイズはチューブを用いてチューブホイールへの装着も可能。

大排気量向けのスポーツタイヤでは、‘14年のS20エボ、‘16年のS21、そして今回のS22と、4年間に3回ものモデルチェンジを敢行してきたブリヂストンだが、11月初頭にリリースしたエンデューロレース用の「バトルクロスE50」や今回のAX41など、既存ラインナップにないジャンルにも積極的な新製品展開を行っている。‘83年に生まれた「バトラックス」は、ブリヂストンの“新しい挑戦”を象徴するブランドと位置づけられているそうで、今後も様々な展開でユーザーを楽しませてくれそうだ。

ブリヂストンのMCタイヤ事業部長・内田達也さん(右)と、S22/AX41の開発を担当した高橋淳一さん。

 

マツ

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「西部警察」と「北の国から」をこよなく愛する本誌編集部員。NSR専門誌・PROSPECのほか、フリーペーパーとして復活を果たしたビッグマシン零(ゼロ)の編集長も兼任する。
■1975年生まれ
■愛車:HONDA NSR250R(1992)/HARLEY-DAVIDSON XL883(2009)

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