現時点最強のツアラー 疲労皆無でどこまでも

ホンダ 新型ゴールドウイング ツアーの試乗インプレッション


17年ぶりのフルモデルチェンジで話題となったホンダの大型プレミアムツアラー、ゴールドウイングに試乗。先代比-38㎏の車体や第3世代7速DCTによる走りやいかに。※ヤングマシン2018年10月号(8月24日発売)より

【〇】走行感は滑空のごとし 万能性に磨きをかける

まずは全面刷新された水冷水平対向6気筒エンジンから。1833ccという排気量は先代とほぼ同じで、最高出力は17ps増の126psへ。シーン別ライディングモードが追加され、ツアー/スポーツ/エコノ/レインのそれぞれで出力特性だけでなく、7速DCTの変速プログラム、電動アジャストサスペンション、ブレーキ特性まで連動して変更される。

基本となるであろうツアーモードでの印象は、先代よりもスムーズでありながら、吸排気音による影響だろうか自己主張が強く感じられる。7速DCTの変速ショックはゼロに近く、また必要なシーンでは適切にキックダウンもしてくれる。クルーズコントロールは速度を適切にキープしてくれるし、アイドルストップの作動性にも不満なし。これがスポーツモードになると、レスポンスがよりダイレクトになり、高回転域を多用する変速プログラムに。パワフルさに驚く一方、それを余裕で受け止めるシャシーの完成度にも感心する。

【HONDA GOLD WING TOUR DUAL CLUTCH Transmission〈AIRBAG〉 2018年型国内仕様 色:黒×赤、白、黒、赤 価格:331万9920円】受注生産車。写真の赤×黒のツートンに加え、パールやメタリックのかかった単色を用意。完全刷新した水冷4ストローク水平対向6気筒エンジンに、ダブルウィッシュボーン型フロントサスペンションなどを採用したホンダ最新の車体を組み合わせる。

 【〇】万能性に磨きをかけた

続いてハンドリングについて。最初にまたがって車体を起こしたとき、先代よりも圧倒的に軽くなっていることに気付いた。やはり38kgものウエイトダウンは伊達ではない。フロントサスはダブルウィッシュボーンという特殊なシステムとなったが、微速域でハンドルを大きく切ったときの操縦感はテレスコピックフォークとほぼ変わらない。電動調整式サスと組み合わされたその乗り心地は、まるでアスファルトの上を滑空しているかのごとく上質で、それでいて接地感は絶妙に伝えてくる。電動プリロードシステムは、乗車人員数や積載量によって任意に調整するものだが、試しに二人乗りモードでタンデムしたところ、乗り心地が硬すぎるという印象に。おそらく設定体重が高いようで、このあたりは実際に試してアジャストするのがいい。

電動スクリーンによる完璧ともいえる防風効果、前進と後退が可能なウォーキングスピードモード、音質のいいオーディオなど、全てが快適なツーリングを目指して作り込まれている。そして先代よりもはるかに取っ付きやすく、日常的に乗れそうな雰囲気があるのも大きな美点だ。

指針式の速度計と回転計の間に7インチTFT 液晶画面をレイアウト。操作頻度の高いスイッチは左右のハンドルに、それ以外をセンターコンソールに集約している。
第3世代7速DCTに追加された微速前後進機能(ウォーキングスピードモード)は、後退に加え前進も可能(MT 車は後進のみ)。取り回し楽チン!
伝統の水冷フラット6はボア×ストロークを変更し、2→4バルブ化。ユニカムバルブトレインを採用する。フロントサスはテレスコピックフォークから新開発のダブルウィッシュボーンへ。フレームはアルミダイキャスト部材を組み合わせ、従来比-2kgを達成している。

【×】発進時にやや振動あり アンドロイド派は残念

発進時のクラッチミートで無視できない振動が発生する。また、話題のアップル・カープレイはiPhoneのみに対応しているため、アンドロイドユーザーは蚊帳の外。機能を最大限に生かすのであればスマホの買い換えは必至か。

【結論】期待を裏切らず予想を超えた進化に大満足!

1年前、たまたま先代の最終型に試乗したのだが、それと比べると圧倒的に進化している。先代の控えめなエンジンフィールや熟成され尽くしたハンドリングも好きだが、やはり新型の軽さは大きな魅力。お勧めは7速DCT 車だ。

ゴールドウイングはアップルのインフォテイメント“カープレイ”に対応している。これはiPhoneのアプリをメーターのディスプレイ上に表示して利用するミラーリング機能。Siriを通じて音声で各種操作ができるのも便利だ。
ライダーの乗車位置は先代よりも前方へ移動。足つき性はご覧の通り良好で、ライポジも決して大柄ではない。(身長175cm/体重62kg)
シートは前後とも居住性に優れる。純正アクセサリーでライダー用のバックレストも。
リヤトランク内にUSBポートとスマホ固定用のバンドを、左のサドルバッグ内にETC車載器を設置。ケースの総容量は110Lだ。
主要諸元■全長2575 全幅905 全高1430~1555 軸距1695 シート高745(各mm) 車重383kg(装備) ■水冷4スト水平対向6気筒SOHC4バルブ 1833cc 126ps/5500rpm 17.3kg-m/4500rpm 変速機7段電子式(DCT) 燃料タンク容量21L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=130/70R18 R=200/55R16
【MT車やバガー型も設定】じつはこちらが基本となるスタイルで、これにリヤトランクを追加したのがツアー。STDは6速MTのみの設定だったが’19年モデルで7速DCT仕様、および新色のダークネスブラックメタリックが追加された。ツアーもMT車とDCT車をラインナップし、DCT車はエアバッグを標準装備する。

撮影:飛澤慎

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