往年のメグロ・SG250を彷彿させるスタイリングで’92年にデビューしたエストレヤ。最後を飾るにふさわしい特別仕様車に試乗した。 ※ヤングマシン2018年6月号(4月24日発売)より
【〇】牧歌的なエンジン特性
レーサーレプリカブーム最盛期の’89年、懐古的なスタイルのゼファー(400)をリリースし、ネイキッドブームを巻き起こしたカワサキ。その3年後の’92年、さらにクラシカルなモデルとして250㏄クラスに登場したのがエストレヤだ。カワサキに吸収合併されたメグロのSG250を彷彿させるスタイルは、’60年代を知るベテランだけでなく若い女性にも支持され、結果的にロングセラーモデルとなった。
そんなエストレヤ、昨年9月に施行された新排ガス規制により、四半世紀という長い歴史に幕を閉じることとなった。そして、そんな最後を飾るべく、昨年6月に発売されたのがファイナルエディションだ。カワサキの往年の名車、650RSをオマージュした特別なグラフィックを身にまといながらも、標準カラーの3万8880円高に抑えられる。
ロングストロークの空冷4ストSOHC2バルブ単気筒は、’14年のモデルチェンジで奇しくもSG250と同じ18psへ。決してパワフルではないものの、シングルらしい明瞭な鼓動感がある。しかもバランサーを採用しているので、スロットルを開ければレッドゾーンの始まる8500rpmまでスムーズに回る。とはいえ心地良いと感じるのは、5000rpm以下でポンポンとシフトアップしていき、トコトコと街中や峠道を流している時。肩から力を抜いて風景を楽しもうぜ、なんて語りかけてくるような出力特性なのだ。
【〇】教習所的なハンドリング
ハンドリングは、車体の倒し込みに対して舵角が穏やかに付くという扱いやすいものだ。スロットルのオンオフに対してマシンがスムーズにピッチングし、乗り心地もなかなかいい。ハンドル切れ角が左右40度ずつと大きく、Uターンや小回りがしやすいのもポイントと言えよう。ブレーキはフロントがφ300㎜のシングルディスク、リヤはドラムだ。試乗後半、ドラムブレーキの鳴きが少々気になったが利きには問題がなく、調整で解消できるはず。惜しまれつつも昨年限りで生産終了になったエストレヤ。欲しい人はショップの流通在庫を狙うべし!
【×】生産終了となったので今後は部品供給が心配
最終型の特別カラーともなればプレミアムが付きやすい反面、やはり心配になるのがパーツ供給だ。ただし、エストレヤはロングセラーモデルなので中古パーツは豊富に出回っているし、またカスタマイズしやすいというのも魅力の1つだろう。
ライディングポジション
ファイナルエディションの専用装備
シンプルな二眼メーターにスイッチもクラシカル
ロングストロークの直立シングル
【結論】ここまで質感のいい軽二輪はもうラストかも
昨今のグローバルモデルを見慣れていると、カバー類をバフ仕上げとしたエンジンやスチール製のサイドカバーなど、贅を尽くした質感の高さに驚くはず。バブル時代の華やかさを今に伝える、ぜひ手元に残しておきたい名車だ。
ニュース提供:ヤングマシン2018年6月号(4月24日発売)