2018年3月1日に発売したカワサキのNinja H2 SXとNinja H2 SX SE。グレード違いの2台だが、その価格差は37万8000円。わずかな差であれば高い方も躊躇なく選べるだろうが、これだけの差があると悩ましいところでもある。その判断材料とすべく具体的に違いに迫ってみよう。
装備を比較するとSEがお買い得?!
STDとSEの価格差は37万8000円。ベースは同じでもカワサキ初のコーナリングライトやフルカラー液晶メーター、大型スクリーン、センタースタンド、グリップヒーターなどがSTDには装備されていない。それらを考えるとこの価格差は納得できる範囲と思われるが、SEとSTDの実車を見比べて検証してみたい。
液晶スクリーン
スタンダードが黒地に白文字表示の液晶スクリーンを採用するのに対してSEはフルカラーTFT液晶スクリーンとなる。表示の自由度の差は歴然としており、SEはまずツーリングモードとスポーツモードの2つの表示画面を用意。ツーリングモードでは、背景色を白か黒に選択することもできる。また、スポーツモードは、1:ブースト圧とスロットル開度のグラフ表示、2:ブースト圧とフロントブレーキ効力のグラフ表示、3:グラフ表示なしの3つの選択が可能だ。
LEDコーナリングライト
SEは左右サイドカウルにLEDコーナリングライトを装備。左右それぞれ3灯のライトが配置され、車体のバンク角によって順番に点灯する。車体の傾きに応じてライダーの視線の方向を照らすことで夜間のコーナリングでの視認性を向上させる。
ブレーキホース&切削加工
SEはステンレスメッシュのブレーキホースを装備。よりダイレクトに油圧を伝達する事で優れたブレーキフィールに貢献するとともに高級感を醸し出す外観とする効果もある。また、各部切削加工による外観のグレードアップもSEならではだ。
大型スクリーンや前後プレミアムシート
SEは大型ウインドスクリーンを標準装備とし、よりアップライトな態勢でもライダーに走行風が当たらない、さらに高いウインドプロテクションを実現。また、SEは前後にプレミアムシート(レザー/スエード調)を標準装備。ダブルステッチも施され、高級感を醸し出している。さらにSEは、タンク部にはタンクパッドとニーバッドを装備している。
グリップヒーターや電源ソケット
SEには、グリップヒーターとメーターの左横にDC電源ソケットが標準装備。グリップヒーターのスイッチは左グリップにあり、10mmほどSTDより握る部分が短くなるが、操作性には影響はなかった。またSEのヒーター付きグリップが太くなることもなく、STDと径はほぼ同じだった。
センタースタンド付きはありがたい
SEには、メンテナンスや長期保管時に便利なセンタースタンドが標準装備される。以上、カワサキが作成した装備比較表に基づいて具体的に解説してきたが、フロントフォークトップもSEとSTDで異なっていた。リリースではともにフルアジャスタブルでそれぞれの装備の違いには触れられていないので、性能に影響はないと思われる。そして、ヘルメットロックやETC2.0車載器キットがSTDにも標準装備なのは嬉しい。さて、Ninja H2 SX SEが237万6000円でNinja H2 SXが199万8000円でその差は37万8000円。これらの装備やカラーリングの違いを考慮すれば納得できる範囲だろう。
Ninja H2 SX/SEは普通に楽しめるスーチャーマシン
Ninj H2 SXの前身であるH2は、とにかく威圧的で乗ってる本人も周囲もビビらせる存在だ。ライディングポジションはリッタースーパースポーツと変わらずの前傾で、さらにスーパーチャージャーの超絶パワーで最高峰のスパルタンマシンと言っていいだろう。対してSXはまずライディングポジションがラク。適度に前傾となるが、街乗りでも苦にならないレベルを保っている。気になるスーチャーのエンジンは、Ninja1000と同じような雰囲気でNAのように扱いやすい。しかし、ブースト表示をみると下からもスーチャーが効いており、回せばブーストのパーセンテージがどんどん高まり、アクセルを戻すと「キュルル~」という独特の鳴き声を発する。だが、それなりに経験のあるライダーなら恐くないばかりかむしろスーチャー加速を楽しめてしまうのがSXの魅力だ。足つき性も身長172cmでほぼベタ足で、パニアもつけられて二人乗りもできてと、ZX-14Rからの乗り換えでも120%以上の満足感が得られそうだ。
●撮影:中野仁史
●車両協力:カワサキモータースジャパン、MSL、0222 みっちーch