“伝説のヨシムラ管”復活!

Z900RS用ヨシムラ・ストレート管登場間近か?!

画像はZ900RSのヨシムラ・カスタム予想CG。ウエス・クーリーを起用し逆襲へ転じる’76ヨシムラAMAスーパーバイクカラーをモチーフとしている。

人気絶好調のカワサキZ900RS用にヨシムラがショート管の開発を進めているという情報をキャッチした。現在開発中で3月開催の東京モーターサイクルショーで公開される見込みだという。これまでつかんだヨシムラZ900RSカスタム情報と共に、ヨシムラ×カワサキZの歴史についても紹介しよう。

いよいよ集合管の本家が動く

ヨシムラストレートサイクロンを装着したZ900RS の予想CG。Zのスタイルにはやっぱりショート管が似合う!

ヨシムラがZ900RS用のショート管を発売するのは大きな意味がある。45年前の春、発売したばかりのZ1にヨシムラの4-1集合マフラーを装着したチューニングマシンが、デイトナスピードウェイで160.19MPH(257㎞/h)をマーク。FIMの速度記録を塗り替えZ1、そしてヨシムラの名を世界に知らしめたのだ。その2年前、’71年にアメリカに進出したヨシムラがCB750のチューニングで発明した集合マフラーは、Z1のパワーも最大限に引き出し、車両とともに大ヒット。4気筒+ショート管は定番のスタイルになっていった。それから45年、Z1の後継としてZ900RSが発売。ヨシムラとしても最速記録から45周年にZで出したいのは、「原点」のショート管なのではないだろうか。

「ヨシムラ」×「Z」×「集合管」の3大ルーツ

【1971年】世界初の集合管を発明   当時レースから撤退していたホンダに代わり、現地のディーラーからデイトナ200マイル用レーサーの製作を依頼され、それが大活躍。同年の別のレースと翌年のデイトナには世界初の集合管を装着して話題をさらった。写真はその復刻車。
【1976年】AMAにZ1で参戦  ポップ吉村主導でAMAに参戦したのはスーパーバイク元年となる’76年からで、’77年まではマフラー外観をストック状態に保つ必要があった。’78年にはZ1+集合管で参戦するが、主軸はGSに移っていた。写真は’76レーサーの復元CG。
【2012年】Z1用復刻ストレート管が即完売  Z1誕生40周年を記念して発売された「Z1 40th Anniversaryレーシング手曲ストレートサイクロン」はシリアルナンバー付きのコレクターアイテムとして人気が沸騰。 フランジも鋳造製とし、当時の雰囲気を見事に再現していた。

 

最新Z900RS用のストレート管は手曲げと機械曲げの2本立て

Z900RS のルーツであるZ1 は左右4 本出しマフラーが特徴だったが、Z900RSはそれとは異なる右1本出し。Z1風の外観と合わせるならむしろショート管にしたいところだ。写真は装着イメージCG。

Z900RS用のフルエキゾーストはストレートサイクロンが用意される模様。現代によみがえる初代集合管は素材にスチールを採用し、高級つや消し塗装を施すことにより、独特の雰囲気を再現している。JMCA対応で公道走行も可能となる見込みだ。3月23日からの東京モーターサイクルショーに展示されるだろう。

バーナーであぶって人力で曲げる手曲げのエキゾーストパイプは全体にゆるやかなカーブを描くのが特徴。対して機械曲げは、直線部分とメリハリがある形状となる。価格は機械曲げの方が低く抑えられるはずだ。写真はイメージCG。
写真はこれまでのストレート管の商品サンプル。Z900RS用も中間にチャンバーを設けずにストレート構造のフルエキとなる模様。公道対応のため左のように出口で消音されるだろう。右はZ1用40thアニバのレース管だ。

 

スリップオンも3種類がスタンバイ

【ベーシックサイクロン】 真円タイプのサイレンサーに黒×金の横長エンブレムがマッチした昔ながらの形状。サイレンサー長は300mmとショートで素材はステンレスを採用する。サイレンサーはリベット留めされたブラケットで固定するので、バンドがなくすっきりした装着状態だ。写真はあくまでも装着イメージCGなので、細部の形状やサイレンサー取り付け角度は実物と多少違ってくるだろう。車体色もヤングマシン・オリジナルだ(以下2本も同様)。●予想発売時期:2018年4月
【R-77Sサイクロン】 ここまで紹介してきた伝統のモデルだけでなく現代のラインナップをネオクラシックのZ900RSに合わせるという提案もあるようだ。R-77Sサイクロンは、USヨシムラのデザインを一回りコンパクトにし、国内の保安基準に適合させたコラボレーションモデル。サイレンサーは真円ではなく、現代的な多角形タイプとなる。写真は装着イメージCG。●予想発売時期:2018年4月
【R-11サイクロン】 よりバンク角を稼ぐことができる形状として考案されたTri-Oval(トライオーバル)をさらに進化させたテーパータイプのデザインを採用した最新鋭ハイスペックモデル。中身はZ900の先進モデルとなるZ900RSだけに、スポーティなマフラーで性能アップを狙うっていくのももちろんありだ。写真は装着イメージCG。●予想発売時期:2018年4月

 

マフラー以外のスペシャルパーツにも期待

写真は’76年のAMAを戦ったヨシムラZ1レーサー(奥)をモチーフとしたヨシムラZ900RSカスタムイメージ。ヨシムラだったらこんな硬派なカスタムが見たい! ……という、ヤングマシンの妄想をCG化してみたもの。Z900RSカフェのハンドルとシートを流用し、多くの構成パーツをブラックアウト。伝説のヨシムラZ1カラーを施し、ラジエターコアガードとストレート管を装着している。

’73年、ポップ吉村はアメリカにヨシムラ・レーシングを設立し、翌年5月に渡米。しかし、現地で会社を奪われて’75年に無念の帰国。再起をかけて作った新会社が「YOSHIMURA R&D」だった。アメリカで毎日マフラーを作り続け、資金を捻出。〝ヨシムラ〞の仮名文字が使えず、ローマ字ロゴを使用して’76年のAMAに参戦したのが上の黒×赤タンクのストーリーである。カラーリングだけでもこれだけ語ることがあるヨシムラとZ1の歴史が投影されたZ900RSカスタム。このカラーとマフラーはアメリカでの挫折と挑戦の象徴であり、その話を知る者にとっては感慨深いはず。こういった物語までカスタムに反映できるのはヨシムラ×Z900RSならではだ。もちろんハード面でもお楽しみはこれから。下記のラジエターコアプロテクターのほか開発中となっているのはマフラーのみという情報だが、現在のZ900RSカスタムの盛り上がりを見ると、いずれはヨシムラの得意とするカムシャフトや吸気系のサブコンピューターチューニングのパッケージも期待できるかもしれない。

すでにラインナップされているのがラジエターコアプロテクター。Fタイヤが巻き上げた小石によるラジエターへのダメージや ラジエターフィンの詰まりを最小限に抑える。ヨシムラ独自の ヘキサゴナルメッシュパターンを採用し冷却効果も確保する。1つ1つにシリアル番号がレーザーで刻まれるのがまた嬉しい。●1万6500円(税抜)
上の写真は’78年の鈴鹿8耐・第1回大会でみごと優勝を果たした時の記念写真。ライダーのウエス・クーリーを中心に向かって、左がヨシムラ創設者の“POP”こと故・吉村秀雄氏、右が長男で現・ヨシムラ代表の不二雄氏だ。