フォーサイト復活も検討! レースDNAを継承しながら最後の最後までマフラーを作り続ける【50年カンパニー Vol.4 モリワキ 後編】

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創業以来、長きにわたってライダーをサポートし続けているメーカー/企業が、ここ日本には数多くある。中でも、50年を超える歴史を持つところは、バイク業界に訪れた大波・小波を乗り越えながら、常にライダーを見つめ、ライダーのために歩んできた。創業51年となるモリワキエンジニアリング(以下モリワキ)は、昨年9月に初代社長の森脇護が会長となり、長男の尚護が新社長に就任した。世代交代を果たしたモリワキは、今後どのように進んでいくのか。日本が誇るコンストラクターとしてのレース活動や、さらにアフターパーツメーカーとしてのもの作りにどう取り組むのか。相談役となった護会長の妻・南海子も加えた3人に話をお聞きした。(文中敬称略)

●取材/文: Nom ●写真:木村圭吾、モリワキエンジニアリング、YM Archives ●BRAND POST提供:モリワキエンジニアリング

ホンダ「RC211V」のエンジンを得てモトGPへの挑戦を開始した

その後、1990年代はベースマシンの戦闘力不足や、レギュレーションの変更などもあり、思うような活躍ができなかったモリワキ。そこに、2002年から世界GPの最高峰クラスが2ストロークマシンから4ストロークに変更になるという話が飛び込んできた。

「それで長年お世話になった当時のホンダの福井社長にGPをやることを報告に行きました。そのときに『うちのエンジンを使ったらどうかね』と言われたんです。当時のRC211Vは無敵の強さを誇っていたので、まさかウチのために用意してくれるなんて思いもしませんでした。本当に涙が出るほど嬉しかったのを覚えています。そんな経緯があり、ホンダからエンジンが供与されることになったんです」(護)

オリジナルのスチール製トラスフレームに、RC-Vの5気筒エンジンを搭載したMD(モリワキドリーム)211VFは、2003年から3年間で8回のスポット参戦を果たし、プロジェクトは終了した。

「ほかの仕事は全部止めて、レースだけをやる会社にすれば十分戦っていけるし、技術的な面でもまったく問題はないと感じていました。モトGPという世界最高峰の舞台で独自の考えと技術で挑戦したことにより、本当に貴重な経験をすることができました」

MotoGPのオリジナルフレーム+4ストロークエンジンというレギュレーションを聞き、護はこれはやらないわけにはいかないと、エンジンを手に入れるためにヨーロッパにも足を運んだが、ホンダからRC211Vの5気筒エンジンを貸与されることになりプロジェクトが始動した。3シーズン戦って、十分勝てる手応えを感じたという。

真っ先に作ったモト2マシンで初代チャンピオンを輩出した

このときの経験が、それまでのGP250クラスの代わりとして2010年から始まったモト2のチャレンジの際に生きた。

「FIMがGP500に続いて、250や125も4ストローク化を検討していると発表した直後、会長が『おい、600ccでとりあえずマシンを作るぞ』って言って、レギュレーションも発表されていないのに、クロモリパイプフレームを製作し、社内にあったCBR600RRのエンジンを搭載しました。そして、その年の鈴鹿8耐のピットに展示したんです」(尚護)

どんなレギュレーションになるか、エンジンの排気量すら公表されていないにもかかわらず、実車を作ってしまったモリワキ。8耐のピットに展示したマシンには、FIMの会長が興味深げにまたがっていたという。

それから、車体をチームに供給することを考えて、フレームをスチールトラスからアルミに変更。エンジンはCBR600RRのまま、尚護がテストライダーになってモト2マシン・MD600の開発がスタートした。

正式なレギュレーションが発表される前に、工場にあったホンダの600㏄エンジンをトラスフレームに搭載してマシンを作りあげたが、市販化を見越してフレームはアルミ製に変更された。

Moto2初年度、MD600に乗るトニ・エリアス選手が7勝を挙げてMoto2初代チャンピオンを獲得した。

そして2010年にスタートしたモト2。エンジンはCBR600のRRワンメイクで、日欧のコンストラクターが車体を各チームに供給したのだが、5チーム/7人のライダーがMD600で参戦。そのチームのひとつ、グレシーニレーシングのトニ・エリアスがモト2初代チャンピオンに輝き、モリワキはコンストラクターランキングで2位に輝いた。

「当時、各国のフレームビルダーが参戦してきましたから、自分たちも日本を代表して戦っているんだという気持ちで取組んでいました」(尚護)

残念だったのは、尚護がワイルドカード参戦する予定だった2010年の日本GP・モト2クラスのレース直前、トレーニング中に尚護が目を負傷してしまい、参戦がかなわなかったことだ。

「尚護が作ったバイクだから行けると思ってたんで、とても残念でした」(護)

供給体制、チームサポートなど、いくつかの課題が生じて、モト2のプロジェクトは2013年をもって終了。さらに、2019年をもって全日本選手権JSBクラスおよび鈴鹿8耐への参戦の休止を発表。モリワキレーシングの活動はここで大きく方向転換することになる。

「自分が決断した一番の理由は、出たいレギュレーションではなかったからです。現在、Z900RSを使ってHSR九州で開催される『鉄馬』に出場しています。作ったモノをお客さまに使ってもらえるのは、モト2のときもそうでしたが、本当にやりがいがあります。Zは多くのユーザーに愛されているバイクなので、より多くのライダーに自分たちの技術や製品を使ってもらえるよう、いまはそのカテゴリーに注力しています」(尚護)

いまでも出場すれば上位に入る自信はあるが、優勝を狙おうとするとどうしても条件がそろわない。モトGP、モト2で培った経験も自信も、現状のJSBクラスのレギュレーション下では発揮しようがないようだ。

全日本JSB&鈴鹿8耐への参戦は休止中だが、イベントレースには積極的に参戦している。上の写真は、今年5月にHSR九州で開催された「鉄馬フェスティバル」のときの写真で、Z900RS MORIWAKI改に乗る渡辺一樹選手がアイアンエキスパートで優勝。

同じく鉄馬フェスティバルで、GB350S MORIWAKI改に乗る金子美寿々選手がネオクラシック350で優勝を果たした。

とはいえ、全日本&8耐に出場するホンダ車ユーザーへのレースパーツのサポートは続けている。

「私たちは参戦していませんが、ホンダユーザーのチームに燃料タンクやマフラーといったパーツの供給を続けています」(尚護)

ホンダ車で参戦するチームやライダーが喜んでくれるもの作りを通して、モリワキは今でもレースに参戦しているし、自分たちの力を発揮して勝てる可能性が出てくれば、そのときは再びレース活動を再開するという。

ヨーロッパのレースで、転倒したマシンが最小限の破損で済んだのをきっかけに、最初に市販化したというスキッドパッドも人気商品。写真はZX-25R用で2万680円。

参戦はしないが、ホンダ車ユーザーのためのレーシングパーツも用意する。CBR1000RR-R用24ℓアルミタンクは、マン島TTレース参戦ライダーからもオーダーがあるそうだ。

自分たちは最後までマフラーを作る、そういう気概でもの作りをする

そして、以前にも増して注力しているのがストリートユーザー用のパーツ開発と販売だ。

「これから電動バイクや、ハイブリッドなんかがバイクの世界にも登場するかもしれませんが、そういうモデル用のパーツも作っていきます。そうすると、もっと高度な加工なども必要になるでしょうから、新しい工作機械などへの入れ替えも行っています」(護)

最近は、イベントにも積極的にモリワキブースを出展している。その際に、お客さんからマフラーを作り続けてくださいと言われるそうだ。

「バイクのEV化が進めば、マフラーの需要も減ってくるでしょう。しかし私たちは、最後までマフラーを作り続けます。ほかのみんなが止めたとしても、私たちは絶対に作り続けるという気概を持っています」(尚護)

マフラーのラインナップも非常に増えているが、まだまだ新作も考えているとのこと。

「イベントで、CBX400FやCBR400Fのユーザーさんが来ると、必ず『フォーサイトマフラーは復刻しないんですか?』って言われるんです。なので、いま復刻できるかどうか検討しています。あと、ヤマハ車のパーツは作っていないんですが、先日発売されたXSR900GP用のパーツを予定しています。年内に形にできるだろうという感じで進めています。ハーレー・X350のマフラーも現在、開発中です」(尚護)

’80年代半ばはレーサーレプリカが全盛期で、モリワキのF1&F3に装着されていたフォーサイトマフラーが爆発的に売れた。サイレンサーに冷却用の細かいフィンを付けた独特なデザインは、いまでも根強いファンが多く、再販を検討しているという。

モリワキマフラーの代名詞であるワンピースマフラー。’90年代の大人気マシン、ゼファー用のワンピースは3カ月分のバックオーダーを抱えるほどの大人気になり、ほかの機種のマフラーを作る余裕がなくなるほどだったという。

社長就任前は、副社長として経営にあたってきた尚護。昨年の社長就任までに経営の苦しい時期も経験したという。しかし、その苦しい時期をスタッフとともに乗り越え、現在は自分の判断で会社を運営できることになり、逆に老舗ならではのさまざまなプレッシャーから解放されたという。

創業51年目を迎えたモリワキ。頂点のレースで鍛え上げられた技術を用い、一般のユーザーに寄り添ったもの作りに邁進していこうとしている。

今年41歳になった尚護新社長と、今年9月末に80歳になる護会長。レース全盛期を全速力で駆け抜けてきた護会長に対し、尚護社長はエンジンから電気に動力源が変わるかもしれないというバイクの大変革期の舵取りを迫られる。しかし、「最後のひとりになってもマフラーは絶対に止めません」と断言する尚護のもの作りへの情熱で、困難も乗り越えていくことだろう。

最新マフラーも続々登場!

騒音や排ガス規制が厳しくなった現在も、細身でコンパクトなワンピースは大人気。写真はZ900RS用で、性能と規制適合のため、内部にセパレーターが入った4in1構造とし、集合部直後にはサブサイレンサーを設けている。24万6400円。

触媒を内蔵し、2系統の排気流路を設けた構造により、消音効果と排ガスの浄化を実現するサブサイレンサー。見せないものでありながら、丁寧な作り込みはまさしくモリワキ。

モンスターエキゾーストが採用していたモナカサイレンサーも根強い人気を保つ。最近は、小排気量車用のものも開発している。写真はスーパーカブ110用で、価格は7万400円。

最新のマフラーは、5角断面のサイレンサーのエンド部分にカーボンパーツを装着したBLADEで、写真はZX-25R用のフルチタン製のハイスペックモデル。25万3000円。

サイレンサーのバリエーションも多く、スラッシュカットされた2本のサイレンサーを備えたクロスツインマフラーも人気だ。写真はエリミネーター400用で11万9900円。


※本記事はモリワキエンジニアリングが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。