50ccガソリン原付が生産終了! 今後の原付バイク通学に最適なモデルはなに?<電動原付一種 編>

国内第4次排出ガス規制が原付一種にも適用され、25年10月末日で50ccガソリンエンジン車両は生産を終了した。市場に流通する新車在庫や中古車もいずれはなくなっていくなか、原付バイク通学をする高校生のモビリティはどうあるべきなのか。代替モビリティの現状について、前号の“新基準原付”に続いて電動原付一種(EV原付)を考察する。
1. 【背景と現状】“原付”モビリティの現状について
50ccガソリンエンジン車は2025年10月末日をもって生産を終了した。
かつては50ccガソリンエンジン車しかなかった“原付”も現在では多様化している。今回の排ガス規制により50ccガソリン原付は生産を終了したが、現在の原付カテゴリーには、電動原付一種(定格出力0.6kW未満)、特定原付(16歳以上免許不要・ヘルメット不要)、モーターによる自走とペダルによる足こぎ走行が可能な電動モペッド(要原付免許・要ヘルメット)などが乱立している状態にある。
●現在の原付区分
現在はひと言で“原付”といっても多種多様。モーターのみの自走も可能な一般小型(電動モペッド)も登場している。※表は国土交通省公表のものをベースに筆者作成
もちろん、国内メーカーによる車両生産は終了したものの、一部の海外メーカーによる輸入車や市場に残っている新車在庫、中古車なども含めた50ccガソリン原付は原付一種区分として今後も乗り続けることはできる。
こうした多様な原付モビリティは、すでに各所で高校生の移動手段として検討されてはいるが、現状では50ccガソリン原付以外の通学モビリティは電動アシスト自転車以外にはないと言ってよい。
今後、50ccガソリン原付の入手が難しくなるにつれ、電動原付一種やそれ以外のモビリティも検討が進んでいくことだろう。
2.【手法】50ccガソリン原付の代替モビリティ:電動原付一種
ホンダの電動原付一種スクーター「EM1 e:(イーエムワンイー)」(バッテリー・充電器付きで税込価格:320,100円)。国からの購入補助金は23,000円(要申請)で、居住地や勤務地など自治体によってはさらに補助金を上乗せできることも。
電動原付一種とは、定格出力0.6kW未満の電動バイクのことで、原付免許またはそれ以外の上位免許を持っていれば運転できる。動力源が電気である以外は50ccガソリン原付とまったく同じルールで運用されており、法定最高速度は30km/h、3車線以上の交差点では二段階右折が必要となり、二人乗りもできない。
なお、50ccガソリン原付スクーターと電動原付一種スクーターを比べたメリット・デメリットについては下記のようなことが挙げられる。
<電動原付一種のメリット>
①燃料(電気)代が安い
ガソリン代に比べて電気代のほうが安くて経済的。1回の充電で15~50円程度。1kmあたり約1円となりガソリンの1/2~1/3程度。
②ガソリンスタンドに行かなくてよい
わざわざ遠くのガソリンスタンドまで行かなくてよい。AC100Vの家庭用コンセントで充電できる。残量ゼロから満充電まで約5~6時間。
③補助金が出る
対象車両には購入補助金を活用できる。また国からの補助金に加えて、都道府県、市区町村が設定した補助金を重ねて活用できる場合もある(居住・勤務地による)。バッテリーシェアリングサービスを対象としたサブスク補助金を設定する自治体もある。
④臭くない、服が汚れない
排ガスを出さないクリーンな乗り物で、体や服も汚れにくい。
⑤アイドリングや走行中も静か
排気音が出ないので、早朝や深夜の走行でも近所迷惑にならない。走行中でもモーター音とタイヤのロードノイズしか聞こえない。
⑥振動がほぼない
ガソリンエンジンに比べ、アイドリング時、走行時ともに振動がほぼないため疲れにくく快適。
⑦操作が簡単
ボタンひとつで電源ON、あとはスロットルをひねるだけで発進できる。
⑧坂道も力強く上る
モーターの特性上、トルクを強く出せるので、発進時にもたつかず、坂道もぐいぐい上れる。
⑨ランニングコストが安い
オイル、オイルフィルター、エアフィルター、点火プラグ等の点検・整備・交換の必要がなくメンテナンス費用が安価。
⑩違法改造がしにくい
基幹部品であるバッテリー、モーター、コントロールユニットはそれぞれトレードオフの関係。パワーを上げれば航続距離が失われるなど、違法改造や暴走行為もしにくい。
50ccガソリン原付一種「ホンダ タクト」と電動原付一種「ホンダ EM1 e:」の比較試乗をした高校生は、EM1 e:について「トルクが扱いやすく低速時もふらつきにくい」「振動がないので乗り心地がよい」「静かで周囲の音が聞こえるので安心」とコメント。熊本県立矢部高等学校で開催された「電動二輪車技術・安全運転 講習会」(2024年10月)より
<電動原付一種のデメリット>
①航続距離が短い
バッテリーをたくさん積めないため、公道走行時の実際の航続距離は30~40km程度。乗り手の体重や坂道が多い道路環境次第ではもっと短くなる場合も。
②充電に時間がかかる
車種やバッテリーによって異なるが、残量ゼロから満充電までは約3~6時間。
③最高速度が遅い
設計最高速度ではなく、人が乗って実際に公道を走行した場合は40km/h前後で頭打ちとなることが多く、幹線道路の流れに乗りにくいことも。
電動原付一種は、国内二輪メーカーからの発売モデル数こそまだ少ないものの、二輪用品メーカーらによる自主開発モデル、海外メーカーからの輸入モデルも含めると、数十以上のモデルが常に流通している状態。
ただし、国内二輪メーカー以外のモデルは小規模な取り扱いにとどまっており販売経路も少ない。街のバイク屋さんに行っても「うちでは取り扱っていない」と言われるケースが多い。
仮に、インターネットから購入するとしても、その後の点検・整備などで十分なアフターサービスを受けることが難しい場合もある。
タイヤのパンクなどは自転車販売店やガソリンスタンド等で直してもらうこともできるが、コントロールユニットやモーター、バッテリーといった基幹部品に故障が出た場合を考えると不安が残ってしまう。
電動原付一種を購入する場合は、国内メーカーが開発したモデルを国内正規取扱の二輪販売店で購入するのが安心だ。
3.【課題と効果】電動原付一種にはバッテリー固定式、交換式の2種類がある
バッテリー交換式であれば、バッテリーシェアリングサービス(上写真はGachaco社資料)を利用できることも。バッテリーを買う必要がなければ車両本体のみの購入で済み、初期費用がぐっと抑えられることも。
現在、電動原付一種にはバッテリーの搭載方法によって2つのタイプがある。バッテリーが車体に組み込まれて取り外すことができない「固定式」とバッテリーが脱着できる「交換式」だ。どちらにもメリット・デメリットがある。
<固定式のメリット>
①車体構造がシンプルで部品点数も少なく、車両価格を安く抑えられる。
②上記の理由により軽量・コンパクトな車体が作れる。
③バッテリーと車体側端子の接点不良などが起きにくく、トラブルの可能性を抑えられる。
<固定式のデメリット>
①(容易には)バッテリー交換ができないので、バッテリー性能が低下して充電容量が減る(航続距離やパワーが落ちてくる)などした際に対処できない。 ※スマホのバッテリーのようにショップで気軽に交換することはできない。
②将来的なバッテリーの進化に対応することが難しい。 ※新型電池に換装して性能を向上するということは難しい。
③バイクを駐車・保管する場所にコンセントがないと充電できない。
バッテリーシェアリングサービス「Gachaco(ガチャコ)」でのバッテリー交換のデモンストレーション。車両はホンダの電動原付二種「CUV:e(シーユーヴィー イー)」で、交換式バッテリー「ホンダ モバイルパワーパックe:」を2本搭載する。「ホンダ EM1 e:」の場合は1本を搭載。
<交換式のメリット>
①バッテリーを取り外して持ち歩けるので、マンションなど集合住宅に住んでいる方、駐車場にコンセントがない方でも自室内で充電できる。
②バッテリー本体の性能が落ちてきてもバッテリーを買い替えることで、航続距離やパワーなど車体性能を維持できる。
③通学・通勤など一定のルートで往復利用する場合、学校や会社に充電器とバッテリーを設置できれば、復路で電欠の心配がない。
④予備バッテリーを携行・積載すれば2倍の航続距離が実現できる。※バッテリー本体が重いので簡単ではない。⑤電動バイクの車両価格の半分くらいはバッテリー本体と充電器が占めているので、バッテリーシェアリングサービス(※)に加入するなら車体本体のみ購入すればよく、初期費用を大きく抑えられる。※現在一般向けのシェアサービスはGachaco(ガチャコ)社のみ。
<交換式のデメリット>
①固定式に比べて車体構造が複雑かつパーツ点数も多くなり、わずかながら車両価格が高くなる。②バッテリー本体は取り外して持ち運べるが、10kg前後の重量があるため長時間持って歩くのは億劫。
「ホンダ EM1 e:」のバッテリー交換を体験する高校生。埼玉県立秩父農工科学高等学校で開催された「高校生と考えるカーボンニュートラルと電動モビリティ」試乗会(2024年3月)より
4.【効果】電動原付一種の特性がバイク通学のメリットになる理由
「ホンダ EM1 e:」に試乗する高校生。埼玉県立秩父農工科学高等学校で開催された「高校生と考えるカーボンニュートラルと電動モビリティ」試乗会(2024年3月)より
おそらくあと数年で、50ccガソリン原付の新車(市場在庫分)は買えなくなる。中古車も徐々に流通量が減っていくだろう。そうしたなか、代替車両に関して学校側は検討を迫られていく。
前回お伝えした、ガソリン原付二種の最高出力を抑え、原付一種と同じルールで運用される「新基準原付」または「電動原付一種」が許可される可能性が高いが、電動原付一種を通学に使うメリットについては以下のようなものがある。
スロットルをひねり「ホンダ EM1 e:」のリヤタイヤを回す高校生。皆一様に驚くのは、その静かさと振動のなさだ。熊本県立矢部高等学校で開催された「電動二輪車技術・安全運転 講習会」(2024年10月)より
<電動原付を通学に使うメリット>
①クリーンで静かな乗物
排ガスを出さないため地域環境に優しい。走行音も静かなので、早朝でも近所や周辺地域に迷惑をかけない。
②通学生徒の質とイメージ
スロットルを吹かして大きな音を出したりできない。実質的な最高速度は40km程度で、ガソリンエンジンに比べて改造しにくいので無茶な走行や暴走行為をしにくく、通学生徒のイメージも悪くならない。
③通学にちょうど良い航続距離
バイク通学実施校の許可基準は、通学距離の片道が概ね数kmから10km以上であり、電動原付一種の実質的な航続距離30~40kmがちょうどよい。数km先のガソリンスタンドに行く必要もなくなる。そのほか、国の購入補助金(イニシャルコスト)がある、日々の充電費用が安く点検整備代もガソリン車両に比べて安い(ランニングコスト)といったコスト面は保護者にとってもメリットとなる。
5. 【まとめ】電動原付一種は必要十分な性能。将来性にも期待できる
排気ガスを出さず静かにクリーンに走れる電動原付一種は、生徒、保護者、学校、地域などバイク通学に関わるステークホルダーにとって歓迎すべきモビリティだ。熊本県立矢部高等学校で開催された「電動二輪車技術・安全運転 講習会」(2024年10月)より
このように、電動原付一種は通学で使うには必要十分な性能を持ち、保護者、学校、地域、周辺住民も安心できる乗り物となっている。
また、リチウムイオンバッテリーやモーターなど基幹部品の技術は日々進化し、その性能と信頼性を高めている。将来的には全個体電池の採用により充電時間の短縮や航続距離の延長などさらなる性能向上も果たすだろう。カーボンニュートラルの実現を目指す社会において電動モビリティに関する技術革新はまだまだ続き、その役割への期待もますます大きくなるだろう。次代を担う高校生、交通社会人の育成という点でも、親和性の高いパーソナルモビリティであることは間違いない。
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