50年間こだわりが止まらないッ!! 玄人がシビれる“AELLA(アエラ)”アルミ削り出しパーツの凄さとは?
熊本県のHSR九州で開催されるイベントレース「鉄馬」に参戦するロイヤルエンフィールドの詳細をお伝えしたが、その車両には京都のパーツメーカー・アエラ製のステップやステアリングステムが装着されていた。鉄馬レーサーを支えたそのこだわりを改めて聞くために、新工場がフル稼働中の同社を訪問してみることにした。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真:夏目健司 ●BRAND POST提供:アエラ(AELLA)
レース用ではなく、公道で楽しむためのパーツ
長年にわたり、公道で気持ちよく安全にバイクを楽しめるパーツを作り続けてきたアエラ。レーシングパーツ、つまりサーキットではなくステージはあくまでも公道。そのため、ものづくりの視点がレース用パーツとはずいぶんと異なっている。
そのこだわりは“ライディングステップ”という商品名にも表れている。他社の製品名でよく見る“バックステップ”という言葉を使わないのは、製品の多くが必ずしもバック位置になるとは限らないから。アエラが主力とするBMWやドゥカティは小柄な日本人だとステップが後ろ気味に感じることが多く、ステップを“フォワード”させる例が多いのだという。
メーカーが熟考したポジションにリスペクトしつつ日本人の体型に合わせるのが目的だから、移動量はせいぜい1〜2cm。4〜5cmも移動することのある、サーキット使用が前提の製品と比べればずいぶんと控えめである。しかしライディングポジションを細やかに、かつ乗り手にピタリと合わせることでライディングはずっと上質に楽しめるようになる。アエラはそこにこだわり続けているのだ。
AELLAライディングステップの細部を見る
わずか2度の大変化! 削り出し可変ハンドル
ライディングステップに続いてアエラの代表格でもある「アルミ削り出し可変ハンドル」は、細やかさの極致と言えそうなパーツ。アエラ独自の構造で3段階(車種によっては4段階)に絞り角を変更できるのだが、1段階で可変する角度はわずか2度!
“あともう少しこうだったら”と思うことも多いと思うが、その変化量は、グリップエンド部での変化がハンドル1本分にも満たない量でも十分に違いを感じ取ることができるという。
ここでもう一度ステップに話を戻そう。ペダル先端のゴムには「AELLA」とロゴが刻まれているが、このゴムは左右で硬さが異なる。左側のシフトペダルはやや柔らかくすることで、よりグリップ感が向上するよう配慮されているという。
さらに、ステップ〜ペダル間の距離は調整式とされているが、走行中の振動などで固定ボルトが緩み、ペダル先端部が脱落するトラブルを防ぐため、固定ネジの脇に突起を設けて回転留めとし、緩みの発生を防いでいるのだという。そんな細かな部分まで配慮され尽くしているのがアエラのライディングステップなのである。
高度に加工されたアルミ素地が魅せる“味”
ステップやハンドルのこだわり以外にも、これぞアエラという点を聞いた。差し出されたのは2つのマスターシリンダーキャップ。片方はキラキラした光沢があって金属感が強く、放射状の光彩が鮮明な上、わずかに虹色の輝きまで帯びている。
「なぜ放射状に光が入るかというと、この部分が平らではないからです。中央を微妙に盛り上げ、ごくわずかに富士山型となるように加工しています。この部分に水が溜まり、水垢などが発生するのを防ぐのが目的ですが、この放射状の輝きはアルミ削り出しパーツならではの美しさです」
こうした、こだわり抜かれた金属加工の魅力を堪能できるのがアエラのイチ推し“ポリッシュ”だ。機械で削ったままのアルミ素地仕上げのことを同社ではそう呼んでいるのだが、表面処理が何もないため傷が付きやすく、水に濡れたまま手入れを怠ると白サビが発生したりと、綺麗に維持し続けるのは少々手間がかかる。
そのため無着色アルマイト仕上げ(同社では“ホワイトアルマイト”と呼称)も用意されていて、当然ながら機能的な差はまったくないため、アエラのこだわりはアルマイト仕様でも十分に堪能できる。できるのだが、この2つを並べてみると…ポリッシュ仕様の光沢や金属感、虹色の輝きの鮮明度がアルマイト仕様を圧倒していることが分かるはずだ。
「アルミを刃物で削ると細かな凹凸が表面にできるのですが、それが光の干渉を起こして虹色に見えます。それをより楽しむための仕上げがポリッシュです」
正直マニアックである。しかもこのポリッシュ、本来なら加工しなくてもいい部分も含め、パーツのすべての面を薄皮を剥くように削る必要がある(アルマイト処理なら不要な作業だ)。その加工のために専用の切削工具を特注していると聞けば…そのこだわりにまたもや感服せざるを得ない。
「こだわりはよく分かったけど、オレはアルマイトがいいな」というユーザーもいるだろうし、アエラもホワイト以外にカラーアルマイト仕様など、嗜好に応じた展開も行っている。しかし、素地そのままゆえにごまかしが効かない、ハイレベルな加工技術がないと製品にすらできないアエラのポリッシュは、金属加工のプロが熱烈な愛好者だった…なんてエピソードもあるそうで、じつに玄人好みの選択肢なのである。
第3の表面仕上げ「無電解ニッケルめっき」も登場
“ないものは自分たちが作る”こだわりを貫くための自前主義
そのアエラは前身のカスノモーターサイクル時代から数えて、今年で創業50周年を迎えた。その老舗を今年から率いているのが新社長の糟野友則さんだ。
「良い製品を、手の届きやすい価格で提供したいと考えています。見た目だけでなく機能性も兼ね備えていることが大事で、それは先代(創業者であり現会長の糟野雅治さん)の時代から変わらないアエラのコンセプトです」
前述したステップキットのポジションやペダルのゴムの硬さ、ポリッシュ仕上げに代表されるように、アエラ製品はいわゆるプロダクトアウト。自分たちでバイクを走らせ、意見を交わし、自分たちが理想とするより良い製品を考えていく。この“少しでも良いものを”という姿勢はパーツだけではなく、それを加工する工具や工作機械に関しても同様なのだと友則社長は語る。
「アエラには“できる限り自社でやる”という思想があります。だから自社工場を作り、いい工作機械があればどんどん導入する。ビジネス的に見たらちょっと躊躇する値段の機械も多いですし、外注した方がコストもリスクも低いのでしょうが、自分たちが作りたいものを作るには、自社でコントロールできる領域が広いに越したことはありません」
アエラに関するものは自社で、という姿勢はパーツだけでなく、ウェブサイトの運営や在庫管理なども同様。社内には撮影用スタジオが備わっており、商品撮影もスタッフで行っている。そうして培われたノウハウが会社の財産になる…という考えなのだ。
そうした姿勢の象徴と言えるのが、昨年から稼働を開始した新工場だ。新たに導入した最新式の5軸複合加工機(1台で数千万円とか…)など、数多くの工作機械がゆったり並ぶその内部は明るく、とても清潔感がある。以前は面積も狭く、加工時の冷却水がミスト状に飛び散るため、マスクなしには過ごせないような環境だったそうで、現場の環境は飛躍的に改善されたという。
「工場が綺麗だと部品を適当に置いたりしませんし、整理整頓が進んで効率も上がる。以前からそうした意識はありましたが、工場が新しくなったことで、それがより高まったと感じます。それは先代の頃からの伝統ですが、友則社長もすごく細かなことに気づくんですよ。物はちゃんと向きを揃えて置くとか。そういった細かなところを全員で意識することがアエラらしさに繋がっているのだと思います(下田さん)」
そんなアエラ、今までは輸入車向けのラインナップが中心で、国産車はZ900RSなどの一部人気機種に限られていたが、今後はよりさまざまな機種に力を入れていくとのこと。直近では鉄馬でも関わったロイヤルエンフィールドのコンチネンタルGT650も予定しているそうで、アエラのこだわりは今後、より幅広い機種で楽しめるようになりそうである。
ロイヤルエンフィールド用パーツを開発、まもなく発売
最新モデル「BMW R1300GS」用パーツも続々と登場
※本記事はアエラ(AELLA)が提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。