KYMCO-KRV180TCS 試乗インプレッション【コンパクトな車体に250cc並みの余裕感、さらに峠性能までプラス】

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台湾のナンバー1スクーターメーカー KYMCO(キムコ)が’22年に登場させた意欲作。それがKYMCO-KRV180TCSだ。フラッグシップモデルであるAK550と同様の独立スイングアームを採用した高い運動性能と、原付2種に近いコンパクトな車格ながら高速道路も余裕でこなす排気量で、普段のタウンユースからツーリングそしてワインディングまでと、これまでになかった世界観を丸山浩が心ゆくまで体験した。

●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:長谷川徹 ●BRAND POST提供:キムコジャパン

まさに150~160ccと250ccのいいとこ取り〈キムコ KYMCO-KRV180TCS〉

キムコ KYMCO-KRV180TCS 概要

キムコは台湾の企業、光陽工業が展開するブランドだ。’64年にホンダとの技術契約締結により光陽機車として2輪製造販売を開始し、’92年から独自開発のキムコブランドを立ち上げた後はスクーターをメインにATVやUTV、モーターサイクルに電動アシスト自転車、シニアカーに汎用エンジンまで多岐に渡って製造。今では製品年間販売台数100万台を超える世界的ブランドへと成長を遂げた。

そんなキムコが’22年に登場させたマシンが、今回紹介する「KYMCO-KRV180TCS」だ。

【KYMCO KRV180TCS】■全長1960 全幅755 全高1115 軸距1400 シート高795(各mm) 車重143kg ■水冷4スト単気筒SOHC4バルブ 175.1cc 17.03ps/8000rpm 1.58kg-m/6500rpm CVT無段変速 燃料タンク容量7.2L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=110/70-13 R=130/70-13 ●色:銀、紫、黒、青 ●価格:56万1000円

コンセプトとしてはスクーターならではの快適性にスポーツバイク並みのライディング性能を融合させた「コンパクトスポーツレクリエーショナルビークル」。人車一体のライディング感を実現するために、最大のポイントはほとんどのスクーターが採用しているユニットスイング式(エンジンとトランスミッションをスイングアーム上に搭載する方式)ではなく、エンジンをフレームへと搭載する独立スイングアーム方式を採用したこととなっている。

メリットとしてはバネ下重量の大幅軽減と、リヤサスの路面追従性向上で獲得される優れた運動性能。ちなみに現行の日本製スクーターで独立スイングアームとなっているのはヤマハTMAX560と言えば、その優位性が想像できるだろう。

キムコではこの方式をフラッグシップであるAK550で採用。KRV180TCSはその技術を受け継いでいる。排気量帯としては、最近人気の125ccやそれをベースとした150~160cc帯ではなく、かと言ってその上となる250ccビッグスクーター帯でもない180ccと、我々にはあまり馴染みのなかったもの。しかし、試乗してみるとこれが実に絶妙で将来性のあるポジショニングだということを知ることができた。

一般的なスクーターとは異なり、エンジンをフレームにマウントする独立スイングアームとして前後重量配分も約50:50に設定、バンク角はクラス最大級の44度とするなどスポーツ性能を大きく追及。装備重量143kgの軽量車体と最高出力17.03psの組み合わせからパワーウェイトレシオは8.4kg/psを発揮。0-100m加速は7.8秒と鋭いダッシュ力を見せる。

キムコ KYMCO-KRV180TCS ライディングポジション

跨ってみると、車格的には125ccクラスよりひと回り大きく、250ccクラスよりはひと回り小さいという、まさに中間的なポジション。街中では125ccクラスに近い小回りの効き具合で、車重感も同様。これは取りまわしがラクだ。

さらに一般的に125ccを超えるとフロアボードはセンター部分が盛り上がってくるのだが、KRVはフルフラットボードとなっており足を揃えて乗れるから街中での乗りやすさは抜群。シート高にちょっと高さは感じつつも、足着き面では身長168cmの私にまったく不満がない。

150~160ccクラスの使いやすいコンパクトなポジション感。足着きは両足指の腹あたりと、ちょっと高い感じがするが不便は感じなかった。[身長168cm/体重58kg]

キムコ KYMCO-KRV180TCS 試乗インプレ:高速道路も余裕の本格派

走り出してみると、エンジンの振動がかなりスムーズだったのが印象的。一般的には排気量が小さくなっていくにつれてガサツな感じが出てくるはずなのだが、そんな雰囲気はまったくない。それどころかKRVは250ccビッグスクーター並みのラグジュアリー感と125~160ccスクーターが持つ軽快に吹け上がる感じの両方を兼ね備えているといったキャラクターで、まさに両方の良いとこどりしたメリットしか感じられない。

エンジンでさらに驚かされたのは高速道路を走行したときだった。最大出力の17.03psとしては、国産150~160ccスクーターと比べると1~2ps程度のアップと実はそんなに違いはない。しかし、KRVの排気量からくる余裕は走りを別のランクに変えていたのだ。

これまでは160ccモデルでも高速道路は”あくまで走ることができる”といったレベルで、常に全開状態のまま他車の流れに乗り遅れないようにするのが精一杯。ツーリングなど長距離を楽しむなら250ccクラスの性能が必要だと考えていた。

それがKRVだと100km/hで巡航していてもまだ回転数はレッドゾーンまで余力を残しており、上り坂では遅れを取るかな辛いかなと思ったが、これもガンガンいけるから驚きだ。

この余力には速さもさることながら、平然と高速道路を走ることができるという安心感が大きかった。気分的には普通のスポーツバイクで走るのと一緒だ。

スクリーンは無く、メーターバイザーがあるのみなので上半身に当たる走行風はそれなりだが、ビッグスクーターのような巨大スクリーンは防風性に優れる一方、後ろからの巻き込み風が発生したり、ハンドリングや取りまわしの重さにもつながるので、スポーティさを売りにするこのマシンにはこのままでいいだろう。

キムコ KYMCO-KRV180TCS 試乗インプレ:本気の車体でワインディングは最高

そして極めつけはワインディングの走りの良さだ。独立スイングアームによる恩恵はリヤサスペンションの追従性にはっきり現れており、足回りがちゃんと動いてしっかりしたスポーツバイクのサスとして機能している。

それに、一般的なスクーターだと寝かせすぎて地面を擦ると重量物であるエンジンがスイングアームごと反動で宙に浮き、破綻をきたして転倒につながりやすいのだが、独立スイングアームのKRVではその恐れも少ない。

また、前後重量配分50:50なんて謳い方をするスクーターは今どきあまりないが、それに恥じず旋回に対してすごくバランスの取れた実に気持ちのよい走りを見せてくれたのも印象的。バンク角も最大44度となかなかに深い。

ワインディングを行ったり来たりしていると、日本でも’80~’90年代にはレースしてくださいと言わんばかりのスポーツスクーターが多かったが、あの頃の雰囲気にどこか似ている面白さを感じさせてくれた。

もちろん今どきのマシンなので車名にも付いているTCS=トラクションコントロールといった最新装備もバッチリ完備。ダートや草むらで試したところタイヤがスリップするとバッバッバッとちゃんと効いているのが分かったので、アスファルト上でもマンホールや濡れた路面できっと役立ってくれるだろう。このTCSはスポーツスクーターらしくON/OFF選択も可能だ。

走りの電子装備としては他に前後ABSも搭載している。スクーター本来の役割としての利便性もフルフェイスが収納できるトランクをはじめ、急速充電対応のUSB電源ソケットやキーレスエントリー、頑丈なバックミラーなど充実の内容で、しっかり作りこまれていた。

このように街中~高速~ワインディングと125~150/160~250ccのスクーターたちがそれぞれ得意としていた部分を全部これ1台に集約させたような活躍を見せてくれたKRV180TCS。56万1000円という車両価格も150~160cc帯と250ccビッグスクーター帯の中間を狙った設定となっている。

それに加えて利便性の方ばかりがクローズアップされがちな最近のスクーター市場において、スポーティな面も真正面から追及していた楽しいマシンとして独自のポジショニングにいることが今回の試乗からは判明。スクーター購入を考えている人は選択肢のひとつとして外してならないモデルだ。

キムコ KYMCO-KRV180TCS ディティール解説

エンジン

同軸トランスミッションとすることで一般的なスクーターよりも軽量/コンパクト化に成功したエンジンはPTM=Power Transmission Matrixにより前後50:50の重量配分でフレームにマウント。

シャーシ

一般的なユニットスイング式ではなく、独立スイングアーム方式とすることでバネ下重量を大きく低減。これによりスポーツスクーターにふさわしい優れた運動性能を獲得した。

足まわり

フロントには正立フォークとφ270mmウェーブディスクのブレーキシステムを採用。優れたストッピングパワーとABSによる安全性を発揮する。タイヤサイズは前後とも13インチ。

リヤショックは車体右寄りにオフセットしてマウント。路面追従性を高めるため、ユニットは寝かせた状態としてストローク長を稼ごうとしているのがうかがえる。

主要装備

灯火類はすべてLED。ヘッドライトは4灯でLoで中央2灯、Hiで残り左右2灯が点灯する。その上にはポジションランプがにらみを利かす。テールランプも横2連のスポーティなデザイン。

メーターパネルは反転液晶で、速度計のほか左に回転計、右に燃料計と水温計を設置するほかオド&トリップメーターや時計なども表示。インジケーター類はハンドルクランプ上に別体マウントされる。

LEDウインカーは前後ともカスタムチックな“流れるウインカー”ことシーケンシャルタイプとなっている。特にフロントはステーの処理もカスタムパーツのような造形を見せる。

バックミラーはスクーター用として異例の高級感。可動部分も含めて非常に頑丈なステーは造形も凝った金属製で、走行中のブレは皆無だ。もちろん視認性についても合格点。

シート下トランク容量は約25L。形状によって厳しい場合もありそうだがSHOEI・X-14といったフルフェイスヘルメットも収納可能だ。室内後部にあるLED照明が夜間の荷物出し入れには便利。

キーレスシステムを採用。フロントインナーは右にポケット、左に給油口が配置される。Type-AのUSB電源ソケットには5V2Aの通常タイプとQC3.0急速充電対応のものが2つ並ぶ。

販売店にて試乗キャンペーンも実施中!

販売元にあたるキムコジャパンは本機の試乗キャンペーンも実施中。キャンペーン実施店で期間中にKYMCO-KRV180TCSを試乗し、KYMCO-KRV180TCSの新車を購入したユーザーを対象に、5000円分のギフトカードをプレゼントする。

少しでも気になったのなら、まずは試乗からKYMCO-KRV180TCSを体験してみてはいかがだろうか。

●キャンペーン実施店
KYMCO-KRV180TCSの試乗車を店頭に用意し、試乗車設置販売店一覧に掲載された販売店
(キャンペーン実施店/試乗車設置店)
https://kymcojp.com/products/bike_products/kymco-krv180tcs-shoplist/

●期間
2023年3月1日(水)~2023年9月30日(土)
●キャンペーン対象台数
・先着限定 全国150台
*キャンペーン期間中でも、対象台数に達した時点で終了予定

丸山浩のインプレッションを動画でチェック!


※本記事はキムコジャパンが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。