第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

~愛媛県県道383号線 四国カルスト公園縦断線~

【バイクで巡るニッポン絶景道】生涯記憶に残る特上の絶景高原![四国山脈 高知県、愛媛県境]#モトツー

  • 2019/6/6

『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第3弾は、四国山脈の頂上にある四国カルスト公園を縦断する。如何なる犠牲を払っても訪れたいという、生涯忘れえぬ光景とは?

TEXT & PHOTO:Hidetoshi KANDA

天空を駆ける道、ここより上はもう空しか存在しない

急峻な四国山脈をその背骨とする四国地方は日本屈指の山国だ。その為、展望風景は果てしなく続く山岳様相が特徴的だ。しかし、唯一の例外がここ四国カルストである。

突き抜けんばかりの大展望の中、眼下には石灰岩の石塔原。ここが大山脈の頂上である事を忘れてしまう程の絶景草原が山稜一面に広がる。

標高は約1400m。真夏でも涼しさを感じる天空の楽園を縦断する1本道が、この四国カルスト公園縦断線だ。

まさに天空を駆ける道。ここより上はもう空しか存在しない。稜線上に伸びる縦断路は、一寸前の永遠に続くかと思われる狭い連続タイトコーナーとは対照的だ。

大空へ飛び出すかのようにアップダウンを繰り返しつつ、バイクにとって最も気持ちの良い緩やかな線形を描く。如何なる犠牲を払って訪れても、生涯忘れない光景になる事は間違いない。見る物全てが圧倒的。四国ツーリングでは絶対に走りたいツアラー垂涎の道なのだ。

現在、日本3大カルスト地形として知られている場所ではあるが、観光地感・秘境感・達成感・混雑度… どれを取ってみても他の地域とは明らかに別格だ。

「風になる為にここへ来た…」

明らかにクサすぎる台詞だが、ここではその表現ですらかなり控えめな表現になってしまうだろう。

ここへまだ訪れた経験がない旅人達に一言。それは「この景色を直に見た事がないのは大変な不幸である」という事だ。

石灰岩の石塔原の向こうは果てしなく続く大山脈。四国カルストは山脈の頂上に位置しており、道路上からも四国山脈を一望できる。日差しは強いが標高が高く湿度は控えめ。真夏でも涼しさを感じる為、避暑地として訪れる方も多い。しかし、遮るものが一切無く、強風時は非常に危険。天候を良く確認し細心の注意を払って訪れて頂きたい。

地域一帯は高知県と愛媛県に跨っている。頂上のレストハウス敷地内も県境に跨っている為、同じ施設内でも場所によって県が分かれてしまう珍しいスポットでもあるのだ。ちなみに、レストハウス本館は愛媛県内にあり、住所的には一応(?)愛媛県となっている。周囲には飲食可能な施設が皆無の為、貴重な休憩スポットでもある。宿泊も可能だ。

姫鶴荘
愛媛県上浮穴郡久万高原町中津7027番地2 
TEL:0892-54-2518 1泊2食付8100円 ※キャンプ場有

古来の道路線形を楽しめるのも四国ならでは

四国カルスト西側、国道440号線は、現在「地芳道路」と呼ばれる高規格道路が開通しているが、東部方面へは九十九折れの酷道が殆どだ。時間の割に距離は伸びず、事故のリスクも高めだが、古来よりの道路線形を楽しめる四国ならではの道とも言える。

トンネルで一気に通過するのも良いが、古来より舗装が加えられたのみの古道に想いを馳せながらのんびりと走るのも、また楽しい。

梼原橋

四国カルストの麓に位置する高岡郡梼原町。最先端の木材加工技術と豊富な森林資源を生かし地元では“木橋の里”として知られている。これは全国でもレアな木製のアーチ橋。しかも観光名所ではなく幹線道路の重要な橋梁。何と、トラックをも余裕で支える強度を持った木橋なのだ。

当然、バイクでの通行も可能。これは必見だぞ!

御幸橋

梼原町内にある三島神社の参道に掛けられた人道橋。梼原町産材を多用した珍しい屋根付き橋で、この橋を目当てに訪れる観光客も多い。しかし、意外と知られていないのが、国内でも激レアな木製トラス橋である事。

千年以上の歴史をもつ三嶋神社にぴったりマッチした景観だが、最新技術で建造された橋なのだ。

四国カルスト公園縦断線:ロード情報

交通量:平日は殆ど皆無と言えるが、休日・連休時は多少の混雑がある。狭路部分もある為、対向車には細心の注意を払って頂きたい。

路面:アクセス路も含め全線完全舗装済だが段差や割れも多少ある。枝道は荒れた舗装も珍しくない。農道部分もあり速度は控えめに。

~四国カルスト公園縦断線~
秘境感★★★★
天空感★★★★★
潮風感
爽快感★★★★★
根性感★★★★
開放感★★★★★

【瓶ヶ森林道】四国最高所の絶景トラバースルート

え!? 林道っスか? そんな声も聞こえてきそうだが、ご安心あれ。 総延約27kmの山岳林道だが、全線完全舗装されておりビッグツアラーでも安心して通行可能だ。しかし、四国路をナメてはいけない。山頂付近までは狭路&連続コーナーの見本市状態。落石も多く、路面をしっかり確認しながらのライディングが必須だ。初心者ツアラーにとっては試練の道とも言えるだろう。

しかし、そこをあえてチャレンジして訪れる価値がここにはある。標高は実に1700m。

四国で最も高い実走可能な道なのだ。冷涼で神秘に満ちた空気。霊峰石鎚山を目前に山脈をトラバースするダイナミックな山岳路は、山岳信仰の修験者達も歩んだ四国で最もパワー溢れるルート。頂上から見下ろす山塊風景は異世界感抜群だ。少々酷道を走ってきた疲れなど一気に消え去ってしまうだろう。

一般的な“○○スカイライン”等と比べると確かに難易度は高いかもしれないが、ケタ違いの感動を体験できる一生に一度は絶対に訪れて頂きたいルート。

ちなみに冬は通行止めとなる。今しか行けないぞ!

全線1.5車線、ほぼ太古より変わらぬ線形で、四国道を代表する典型的な酷道だ。 しかし、四国一の山脈をトラバースする絶景山岳道。バイクで来て良かったと心から思える瞬間があちこちにある。

交通量が比較的多い上に、見通しの悪い箇所も多く対向車への警戒は常に必須だ。

険道ながら標高1500超の山塊を一望する絶景山岳ルートだが、激狭&連続タイトコーナー中心の旅になる上、文明の面影は道路と看板のみ。ガードレールすら省略された箇所も多く、ツーリング初心者には精神的にも体力的にもかなり厳しいに違いない。

しかし、林道ピーク付近で四国の山岳地帯に足を踏み込んだ事に心から感激する事を約束しよう。

膨大な降水量を誇る四国山地は美味い湧水も点在。林道への東側アクセス路である寒風山隧道付近には湧水スポットもある。天然の濾過のみで頂ける100%自然の天然水。必ずペットボトル持参で行こう。

天然の濾過のみで頂ける100%自然の天然水。

瓶ヶ森林道:ロード情報

交通量:知る人ぞ知る絶景道だが酷道の割に交通量は多い。観光バス等が来る事はないが対向のマイカーには注意が必要。

路面:比較的舗装は新しく大型ツアラーでも心配は無いが、大小の落石が多めで路面注視は必須。安全なライン取りを心がけよう。

~瓶ヶ森林道~
秘境感★★★★★
天空感★★★★★
潮風感
爽快感★★★★
根性感★★★★★
開放感★★★★

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